電子部品の代替品選定の難易度

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コロナ以降、電子部品全般で入手性が悪くなっており、業界全体で苦しんでいます。

製造予定だった製品が部品不足で作れないなんて事も普通にあります。

そんな時、代替品を選ぶ必要がありますが、それにも難易度がいろいろありますので、部品ごとに簡単に解説します。

 

CPU・MPU

電子回路の中心となるCPU・MPU。

これが手に入らないとなると、正直言ってほとんどの場合お手上げとなります。

IntelやAMDのようなPC向けのCPUと違って、組み込み向けのCPUというのはバリエーションがとんでもなくあります。

初心者が見たら「なんで一社でこんなにたくさんCPUだしてるんだ? 意味分からない」と思うでしょう。

正直、業界に居る自分から見ても意味が分かりません。

そのため、現状のCPUとほぼ同じもの(パッケージ違い・微妙な機能違いのみ)があることもあります。

そういう場合は回路の変更のみですむのでなんとかなります。

しかし、たいていの場合は大きな変更になってしまうので、ソフトウェアの対応が必要になってしまいます。

「ハードウェア」は簡単に変えられないが、「ソフトウェア」は簡単に変えられる、なんていうのはただの迷信です。

別のCPUにソフトウェアを移植するとなると大規模な開発期間が必要になり、数ヶ月から数年の工数がかかってしまいます。

そのため、CPUの代替品を選ぶというのは非常に難しいのが現状です。

 

電源IC

昨今、電源ICも需要逼迫しています。

というか、全部の部品が需要逼迫しているんですがね・・・。

電源ICを変える場合、同形状の部品は期待できないので、基板は完全に作り直しになります。

また、電源ICは動作・ノイズに関しても影響が大きいので、大半の信頼性試験がやり直しになります。

 

ダイオード・トランジスタ

ダイオード・トランジスタは単機能部品なので、同形状で代替可能な部品は意外と多くあります。

運が良ければ基板作り直さなくて済みます。

(ただし現状だと他の部品もダメなので、どうせ基板作り直しになりますが・・・)

特殊な用途を除き、大抵のダイオード・トランジスタにはそれほど細かな特性を求められません。

(ただの整流や単純なON・OFFなどしかしていないので)

定格や大まかな特性さえあっていれば、載せ替えしても大丈夫な場合がほとんどです。

 

抵抗

抵抗は本当に単純な部品なので、基板の作り直しもせずに他の部品に載せ替えることが出来ます。

(超高精度品などの特殊部品を除く)

 

IC類

IC類は山のように部品があるのでここで解説しきれませんが、大抵は基板作り直しになります。

極一部の部品だけ8pinや14pinで互換性のある物が複数メーカーでラインナップされていますが、大抵のIC類は互換性のある部品がありません。

基板作り直しだけで無く、根本的な設計からやり直しになります。

現状、非常に厳しい。

 

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