この記事も実務者向けですが、それほど経験がない人向けに書いていますので、
かなり乱暴なのでご注意を。
ただ、実際こうしておけばほとんど問題がありません。
(逆に相応の知識がないとこれ以外のことをすると危険)
材質の選び方
FR-4です。
呪文のように覚えて下さい。
FR-4です!!
ガラスエポキシ基板で、難燃性・低誘電率でスタンダードな材質です。
「紙フェノールのほうが安い」とかそういう情報もありますが、高品質なFR-4がスタンダードになったため、昔ほどの価格差はありません。
変な材質を選ぶと変な制約が出て苦労することになること請け合い。
特殊な製品でない限り、スタンダードなFR-4にしておけば一番問題少ないです。
層構成の決め方
層構成というのは層の厚みや重ね方の指定です。
「厚さ◯◯umのコアに◯umの銅箔を重ねて、さらにプリプレグを◯umにして……」
というような情報です。
ですが、回路設計者がこれを一つ一つ指定することはありません。
なぜなら、工場で扱っている基板の仕様があって、
「こんな仕様のもの作って下さい!」
と言っても
「うちじゃそんなもの作ってない! 他所に行ってくれ!」
で終了なんですよ。
基本的に基板を作る工場というのは「工場標準の層構成」というものを持っていて、それしか作れません。
なので、量産するのであれば量産する工場の仕様どおりの基板を作るしかありません。
(試作で量産工場に頼めない場合は、量産工場と同じ層構成・材質でつくれる試作工場を探して、そこで作ってもらう。とにかく量産工場に合わせる!)
となると、設計者は何も考えなくていいかというとそんなことはなく、
「基板の厚さ」
「層数」
を決める必要があります。
基板の厚さ
これがいろいろありまして、私の経験だけでも
・1.6mm
・1.0mm
・0.8mm
の3種類があります。
他にも1.2mmだとか0.4mmだとかあるようです。
「どうしてもこの厚みが必要だ」という場合は指定してもいいですが、
標準は1.6mmです。
1.6mmが一番流通していて、どこの工場でも作れて、価格も一番安くて、頑丈。
よほどの理由がない限り1.6mmにするのが無難です。
1.6mmだとかなり硬いので取扱的にも楽です。
逆に0.8mmなどになると本当にペラペラなのでラフに扱うと簡単に折れますし、すぐしなります。
ということで、理由がない限り「1.6mm」です。
層数
さて、こいつが厄介です。
経験があれば「これは4層でいいかな」とか想像できますが、経験がないと層数の判断ができません。
・2層(ちょっと安い)※バカ安ではない
・4層(普通の値段)
・6層以上(高い)
面積にもよりますが、配線の引き回しにもよるので一概に言えません。
なんとなく感覚を書いておきます。
・2層基板
ピン数が20pin以下の超小型CPUなら配線数も少ないので裏表だけの2層基板で配線できるかもしれません。
ただし面積が小さいと困難です。
2層基板の問題は、信号の配線を引けたとしても、(信号線が基板を横切るので)電源やGNDをつなげられないことです。
実際に経験してみるとわかりますが、2層基板は驚くほど早く限界が来ます。
「え、これっぽっちの配線を引いただけで繋げなくなるの?」と驚くことうけあいです。
また、4層基板より安いとは言え、昔ほどの価格差ではないので、大きな基板を大量に生産しない限り価格メリット低いです。
個人的にはよほど低密度の基板でない限りはおすすめしないです。
・4層基板
20ピン以上から100ピン程度のCPUを使うなら、4層基板が必要です。
4層基板の場合、裏と表を信号の配線に使い、中身の2層を電源とGNDの配線に使います。
そのため、2層基板で電源やGNDを繋げずに苦労していた問題が解決します。
2層基板より少し高いですが、配線自由度が圧倒的に増すために、基本的に4層基板を多用します。
個人的には大抵の場合で4層基板をおすすめします。
配線がきれいになるのでノイズも抑制しやすいです。
・6層以上
BGAなどピン数が200を超えるようなCPUになると、4層でも限界が来ます。
そうすると6層以上の基板が必要になります。
アートワークをするのもすごく時間がかかる上に、層が多すぎて検図する際にもものすごくわかりにくいです。
なので、できれば使いたくない(爆)
と、こんな雰囲気です。
なんとなく、わかりました?
以上、小田切でした。