CPUのデータシートを見たことがあれば、「低消費電力モード」だとか「低速モード」だとか「低速オシレータ」とかそんな言葉を見たことがあると思います。
そういったものを見ていると、
「CPUは速度を遅くすると電気を消費しないんだ」
と分かってくると思います。
でも、なんでクロックが遅いと電気を食わないのでしょうか。
CPUを抵抗成分だと仮定すると、電圧が一定ならばクロックがどうだろうと電流は同じはずです。
ということは、CPUは電源から見て抵抗ではないのです。
実は、CPUというのは、というかデジタル回路というのは、ロジックが遷移するときにだけ電気を食います。
High→Low
Low→High
のときに電気を消費するわけです。
レベルが変化しなければ電気は理想的にはゼロ、実際にも微々たるものです。
何故かと言うと、CPUがCMOSというFET回路の塊だからです。
大昔のIC・CPUはトランジスタで出来ていました。
トランジスタというのはONにするためには常に電流が流れていないといけません。
もし電流が流れなければOFFになってしまいます。
CPUの中には大量のデジタル信号があり、当然のONのトランジスタも多いわけですから、合計では莫大な電流を常時消費するわけです。
しかし、FET回路は電圧駆動です。
電圧をかければ電流がほぼ流れずON/OFFできます。
つまり、CPUの中でONのFETが多くても別に電流が流れないわけです。
理想ではなく、現実でもほとんと電流が流れません。
つまり、止まっている状態ではほとんど電気を食わないのです。
しかし、回路には寄生容量があります。コンデンサがあちこちについているのです。
なので、ロジックが変化するときにはそのコンデンサを充電・放電する必要があり、それが電流を消費するのです。
CMOS回路自体の消費電流は微々たるものだが、寄生容量が電気を食うということです。
そして、クロックが速ければロジックの変化が大きい=充放電回数が多い=消費電流が多い。という関係が成り立つわけです。
以上、小田切でした。