意外と設計者が気にしていないのが、ダイオードの逆方向電流。
「逆方向電流」とはダイオードに逆方向に電圧をかけた時に流れてしまう電流のことです。
大電流が流れる電源ラインなどではほとんど気にすることがないですか、電流が少ないラインや信号部では結構重要になってきます。
これが原因で電池が早く消耗したり、想定外の電圧になってしまったりします。
ということで、ちょっと実際のダイオードでどれ位の逆方向電流が流れるか比較してみようと思います。
今日の比較対象
ROHM当たりから表面実装品を引っ張ってこようと思ったのですが、ROHMはデータシートの一部でも転載するなとうるさいので止めておきます。
著作権上、説明に必要な妥当な範囲での引用はOKなはずなんですが、難を避ける意味でROHMはやめておきます。
ちなみに、ROHMは国内メーカーでダイオードやトランジスタをラインナップしていてすごく使いやすいメーカーですよ。念のため。
ということで、今日はアマチュアな人でもよく使う秋月で扱っているリード品のダイオードで比較したいと思います。
実務では表面実装品しか使いませんが、特性は似たようなものなので良いでしょう。
1Aクラスということで、この二つを選びました。
普通のダイオード:PANJIT 1N4007
ショットキーバリアダイオード:PANJIT 1S4
電圧降下(順方向電圧)の比較
では最初に両方共に定格電流である1Aを流したときの順方向電圧を見てみましょう。
これが小さいほどダイオードとして優秀です。
1N4007:
1N4007は1Aで1.1Vです。
普通のダイオードであればこんなものです。
1S4:
1S4は1Aで0.5Vです。
なんと1N4007の半分!
さすがショットキーバリアダイオードです。
逆方向電流の比較
本題の逆方向電流です。
1N4007:
最大電圧で25℃で5uAです。
1N4007は1000V耐圧なので、なんと逆方向に1000Vも掛けても5uAしか流れません。
1S4:
対して、1S4は25℃で0.2mA = 200uAです。
なんと1N4007の40倍です。
しかし忘れてはいけないことがあります。
1S4の耐圧はわずか40Vです。
なので、逆方向に40Vかけると200uA流れてしまうということになります。
結論
定格電流が同じ物同士で比較すると、やっぱりショットキーバリアダイオードは逆方向電流が大きい!
5uA@1000Vと200uA@40Vの違いは大きいです。
このことを頭においておくといつか役に立つときがやってきます。
以上、小田切でした。