量産品の基板に部品を搭載するのは実装マシンです。
1,基板にはんだペーストを塗り
2,はんだペーストの上から実装マシンが部品を搭載し、
3,リフロー炉に入れてはんだペーストに熱が入ってハンダが固まり、
4,いっちょ完成!
ということです。
「人がやるのではなく、メカがやるんだから部品なんてそんなずれないでしょ。実装精度とか気にしなくても大丈夫でしょ」
だいたいはそうなんです。
0603みたいな1mmよりはるかに小さい部品でもだいたい大丈夫です。
0.5mmピッチのめっちゃ細かいピンが出ているICでもだいたい大丈夫です。
が……実は鬼門が有ります。
実装マシンくんはとても正確です。
上下左右のズレなんて0.1mm程度です。
ところが、はんだペーストに載った後はんだペーストの上で部品がぬる~と動いてしまうのです。
これはどんなに実装マシンの精度が良くても関係ありません。
「絶望的じゃないか!」
実は大抵の場合問題ありません。
はんだペーストの上に部品の端子が載ると、粘性があるので端子ははんだペーストの中で上下左右に移動しても外れることはないのです。
・実装マシンくんが超絶精度で、超絶小さいパッドに塗られたはんだペーストの中央に超絶小さい部品の端子をきっちり置く
↓
・部品がはんだペーストの上でちょっと滑る
↓
・部品の端子がパッドの中央からずれる(でもパッドからは外れない)
↓
・この状態で炉に入って固定される
とこのように、多少ずれてもパッド内での話であり、電気的にはなんの問題もないわけです。
「なんだよ驚かせやがって。何の問題もないんじゃないか」
ところが電気的にはOKだけじゃだめなのがあるんです。
「コネクタ」です。
パッド内で端子が移動するだけなので電気的には問題ありませんが、位置がずれてしまいます。
通常、縦横方向のズレはあんまり問題ありません。
問題は回転です。
僅かに2-3度ずれただけでもダメになる場合があります。
例えば、こんな基板を考えましょう。
・PCI-EXPRESSのコネクタがついている
・その数cm先にPCI-EXPRESSカード固定用のネジ穴が開けてある。
はい、ここでPCI-EXPRESSのコネクタが2-3度でも回ったらどうなりますか。
PCI-EXPRESSカードを指した時、カードのネジ穴と基板のネジ穴が合わなくなります。
つまり、アウト!
ということで、少しでも位置がずれたらアウトなコネクタを扱うとき「だけ」は実装精度を気にしないといけません。
以上、小田切でした。