回路設計とはちょっと違うけど閑話休題的に。
自分が勤めていた会社でも自社商品というのを作っていました。
ボチボチ売れたものもありますが、ほとんど売れないものもありました。
というか全体的に見て、開発にかけたコストを回収できてないと思います。
なんでそんな風になってしまったのでしょうか。
どうも、「こういう製品を作ろう」と営業だとか役員が考えて作ってしまうのが原因のようです。
逆にある程度顧客になりそうなところにヒアリングして作ったものは、まぁまぁ使われました。
つまり、潜在顧客の意見を聞いて作ったものはよくても、こちらが思い込んで作ったものは駄目だったようです。
考えてみれば当たり前ですが、世間で流布している俗説などが悪い気がしています。
名経営者の伝記などで「世の中の人に調査しても新しいものは生まれない。新しい需要を作り出すつもりで新しいものを作れ」的な事が書いてあります。
これを信じれば、思いついた製品を作るのは悪くないように思えてしまいます。
なにが間違っているんでしょうね。
第一に、企画の本気度が違うんだと思います。
ホンダの創業者の伝記でも「俺はこれを作るんだ!俺はこれを信じているんだ!」みたい熱いパッションで作っています。
ですが、世の中の企画というのは「まぁ、こんなもん作れば売れるんじゃないかなぁ。別に自分はそんなに思い入れ無いけど」みたいなのが多いわけです。
これだけ本気度が違えば失敗するでしょう。
第二に、実際の開発ではほとんど新しい物を作ってないということです。
高度成長期に全く新しいジャンルの製品(ウォークマンとか)を作っていればたしかに新しいです。
これはリサーチしても作れない製品だったと思います。
しかし、世の中の殆どの企画というのは類似品があるわけです。
すでにある商品とちょこっとだけ違うものを作っているだけなんです。
だったらリサーチできるので、リサーチを活用したほうがいいですよねって話。
とまぁ、こんな感じで、伝説になっているような製品の開発の話というのは特例だと思うんです。
すべての製品の開発でそんな考え方をしていてもうまくいかないと思うんですよね。
なので、「人生をかけていない製品」「類似品がある製品」だったら素直に潜在顧客の意見を聞いてニーズに合わせて開発したほうが上手く行くと思います。
まぁ、人生をかけているような熱い製品が見つかれば、そのパッションで貫いちゃってもいいかもしれません。
以上、小田切でした。