2018年 3月 の投稿一覧

LDOのリップル除去率とは

LDOの特性を見ていくと「リップル除去率」というものがあります。

 

LDOで例えば5Vから3.3Vをつくるとします。

しかし、5Vが揺れていて±0.1Vの間をフラフラしています。

すると、出て来る3.3Vも±0.1V変動するのでしょうか。

いえ、それが違います。

それがリップル除去率です。

 

例えばリップル除去率が60dBのばあい、20dBで10倍ですから、1000倍になります。

ということは、入力が±0.1V揺れていても、出力は±0.1mVということになります。

LDO自体が出すノイズやその先の回路の消費電流変動による電圧変化のほうが大きいでしょうから、

実質的には入力元が±0.1V揺れていた影響はまったくないということになります。

 

これを聞くと非常に素晴らしく感じると思います。

 

「どんな汚い電源でもLDOを挟めばすごくきれいになるんだ。素晴らしい」

 

しかし、実はそうではありません。

まず、LDOというのはそんなに速い動きをするデバイスではありません。

あんまり俊敏に動くと電圧変動に過敏反応して発振してしまいます。

なので、位相保証などの機能であえて動きを抑えてあります。

 

ということは、遅い動きには対応できても、速い動きには対応できません。

LDOのリップル除去率のグラフを見てみると、たいていどんなLDOでも周波数が上がるとリップル除去率は落ちていきます。

よくても数百kHz程度が実用域です。

(10kHzぐらいで効かなくなるものもあります)

数MHz以上のノイズを除去する能力はほとんどありません。

 

ということで、リップル除去能力は非常にありがたいものですが、低い周波数専用です。

もし、LDOを使って綺麗な電源を作りたいのであれば、インダクタやフェライトビーズと組み合わせましょう。

そうすると、高周波も低周波もノイズを抑えた電源が作れます。

 

以上、小田切でした。

CPUの消費電力はクロックに(ほぼ)比例する

CPUのデータシートを見たことがあれば、「低消費電力モード」だとか「低速モード」だとか「低速オシレータ」とかそんな言葉を見たことがあると思います。

そういったものを見ていると、

 

「CPUは速度を遅くすると電気を消費しないんだ」

 

と分かってくると思います。

でも、なんでクロックが遅いと電気を食わないのでしょうか。

CPUを抵抗成分だと仮定すると、電圧が一定ならばクロックがどうだろうと電流は同じはずです。

 

ということは、CPUは電源から見て抵抗ではないのです。

 

実は、CPUというのは、というかデジタル回路というのは、ロジックが遷移するときにだけ電気を食います。

High→Low

Low→High

のときに電気を消費するわけです。

レベルが変化しなければ電気は理想的にはゼロ、実際にも微々たるものです。

 

何故かと言うと、CPUがCMOSというFET回路の塊だからです。

大昔のIC・CPUはトランジスタで出来ていました。

トランジスタというのはONにするためには常に電流が流れていないといけません。

もし電流が流れなければOFFになってしまいます。

CPUの中には大量のデジタル信号があり、当然のONのトランジスタも多いわけですから、合計では莫大な電流を常時消費するわけです。

しかし、FET回路は電圧駆動です。

電圧をかければ電流がほぼ流れずON/OFFできます。

つまり、CPUの中でONのFETが多くても別に電流が流れないわけです。

理想ではなく、現実でもほとんと電流が流れません。

つまり、止まっている状態ではほとんど電気を食わないのです。

しかし、回路には寄生容量があります。コンデンサがあちこちについているのです。

なので、ロジックが変化するときにはそのコンデンサを充電・放電する必要があり、それが電流を消費するのです。

CMOS回路自体の消費電流は微々たるものだが、寄生容量が電気を食うということです。

 

そして、クロックが速ければロジックの変化が大きい=充放電回数が多い=消費電流が多い。という関係が成り立つわけです。

 

以上、小田切でした。

CPUの入力ピンにプルアップ・プルダウンをつけないと何がいけない?(初心者向け)

CPUの入力ピンやその他のICの入力ピンには、基本的にプルダウン抵抗かプルアップ抵抗をつなげないといけません。

 

「プルアップかプルダウンしないと、HighかLowか決まらないからでしょ。でも、使ってない機能とかHighでもLowでもどっちでもいいピンはどうでもいいんじゃない?」

 

と思うかと思いますが、そうじゃないんです。

デジタル回路は「High」か「Low」しかないんです。

中間値というのはないんです。

中間値を入れると大げさでなく壊れることが有ります。

中間の電圧を入れるとデジタル回路ないの回路構成上、IC内で電源とGNDがショートした形になり、大電流が流れてICが破損するのです。

(なので、HighからLowへの変化もあまりゆっくりだと問題がでます。変化も早くないといけません)

 

なので、全く使っていなくて「どっちでもいい」ピンであっても、かならずプルアップかプルダウンをいれましょう。

CPUの場合は出力ピンにすることでプルアップ・プルダウンが不要になりますが、入力しかできないピンはやはりプルアップ・プルダウンが必要です。

 

なお、プルアップ・プルダウンが内蔵されている場合は、外で抵抗を付けても着けなくてもいいですが、内蔵と逆方向に着けないように気をつけましょう。

 

以上、小田切でした。