回路の中のコンデンサの役割というのは、どうも初心者の方にはわかりにくいようです。
たまにすごく変わった使い方もありますが、一般的な役割について説明していきたいと思います。
これだけわかればなんとなく回路図を見てコンデンサの役割がわかってくるんじゃないでしょうか。
バイパスコンデンサ(電源平滑)
一番わかりやすいのがこれです。
俗に言う「パスコン」です。
電源とGNDの間に接続して電源を安定化させるのが目的です。
電源のノイズというのは細かな電圧の変動です。
安定化させることでそれが減るので、結果的にノイズも減ります。
例えば……
・入ってくる電源が5.0Vじゃなくて4.8V~5.2Vの間をゆっくりふらふらしている。
→電源の入力元に安くて容量が大きな「アルミ電解コンデンサ」を入れます。
・CPUが100MHzで動いているので、CPUの消費電流が10nsごとに変動する。
→高周波特性が良い「積層セラミックコンデンサ」をCPUの電源ピンの直ぐ側にいれます
・DCDCコンバーター(電圧変換)の出力に数百MHz~数MHzのノイズがでる
→高周波特性がそこそこ良くて大容量な「導電性高分子アルミ電解コンデンサ」をいれます。
こんな感じで、「電源の入力元」「DCDCコンバーターなど電圧変換機構の入出力」「各ICの電源ピンの近く」にいれます。
信号に対する周波数制御
コンデンサは交流を通しやすいという性質があります。
詳しくはローパスフィルタやハイパスフィルタで調べてもらいたいのですが、
コンデンサ・抵抗・インダクタ(コイル)を組み合わせると「高い周波数だけ通す」「低い周波数だけ通す」「ある周波数の範囲だけを通す」といった回路を作ることが出来ます。
音楽信号を例に取れば、「低音強調」みたいなことができるわけです。
無線であれば「通信に使う特定周波数だけを取り出す」といったこともできます。
時間をカウントする
コンデンサに電流を流し込んでいけば、コンデンサの電圧はだんだんと上がっていきます。
その上がる速度は、コンデンサの容量と流し込む電流できまります。
ということは、それを決めれば「10秒で1.0Vになる」とか「100秒で1.0V」になる組み合わせを狙って作れるわけです。
それを利用して時間をカウントすることがあります。
NE555などのタイマーICと呼ばれるICはこのコンデンサに電気がたまる時間を使って時間をカウントします。
ただし、注意してもらいたいのはコンデンサの容量というのはそんな正確じゃないということです。
±20%程度は当たり前ですし、場合によってはもっとずれます。
なので、正確な時間が必要な場合には使えません。
「回路1がONしてから10ms以上経ってから回路2がONさせる」みたいなアバウトな時に使います。
(このときは20msとか30msに設定しておけば多少容量が変わっても10ms以上は確保できます)
代表的な使い方はこんなところでしょうか。
以上、小田切でした!