コンデンサの種類とそれぞれの特徴(初心者向け)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大抵の電子部品はそうなのですが、コンデンサもいろいろな役割があります。

「電気を貯める」という役割はなんとなく分かっても、それが高周波だけを通すハイパスフィルターとして使われたり、低周波だけ通すローパスフィルターとして使われたりするという話になると「???」となる初心者の方は多いんじゃないでしょうか。

同じコンデンサでも用途が違うのでいろいろな品種があるわけです。

今回はコンデンサの代表的な種類について説明します。

 

 

積層セラミックコンデンサ

CPUなどの低電圧機器で一番活躍しているのがこのコンデンサ。

今の時代では本当に万能といっていいレベルのコンデンサです。

 

・1pF~100uFまでの広いラインナップ(こんなコンデンサ他にない)

・1GHzを超える無線でも使える高周波特性

・低ESRによる優れたノイズ抑制性能

etc。。。

 

簡単に言うと、「欲しいと思った容量があって」「高周波数でも使えて」「理想コンデンサに近い特性でノイズを超吸収してくれる」ということです。

もちろんこのコンデンサにもいろいろな特性があるので、それを理解する必要はあります。

しかし、一番使い勝手が良いコンデンサです。

現在では、積層セラミックコンデンサしか使っていない基板も珍しくないです。

そのぐらいメジャーです。(スマホなんか、積層セラミックコンデンサの塊)

 

 

アルミ電解コンデンサ

昔からあるコンデンサです。

特徴は大容量であること。

1000uF以上のものが普通にあります。

ただし、数百kHz以下でしか効果がなく、ESRも大きいです。

あと、安い。

「容量が大きくて安いけど性能はいまいち」と思って下さい。

使い方としては、電源大元の平滑用やモーターの電源部などに使います。

 

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

長い名前ですが、アルミ電解コンデンサの高性能版です。

「容量が大きくて性能そこそこ値段そこそこ」です。

高周波の性能やESRなどは積層セラミックのほうがいいです。

(もう本当に積層セラミックのパフォーマンスの良さは群を抜いている)

どういうところで使うかというと、DCDCコンバータの平滑用に使うことが多いです。

DCDCコンバータの詳しい説明はここではしませんが、DCDCコンバータというのは数百kHzから数MHzのノイズを出します。

普通のアルミ電解コンデンサではそのノイズを取り切れない、積層セラミックコンデンサなら完璧だけど容量が足りないor価格が高すぎる。

そんなときにこのコンデンサを使います。

 

電気二重層コンデンサ

これはかなり特殊。

特徴はめちゃくちゃ大容量なこと。

10Fとかあります。

アルミ電解コンデンサの普通のものは1000uFとかなので、その1万倍の容量のものがあるということです。

ものすごいのですが、電圧は低いです。

2.5Vとか5Vとか。

そして2パターンのシロモノがあります。

 

「低漏れ電流・高ESR」:結構昔からあって電源落ちたときの時計保持などのバックアップ用として使われています。漏れ電流が小さいので一回充電されれば長時間持つのですが、高ESRということで内部の抵抗成分が大きいので数mA程度しか流せません。感覚としてはコンデンサより電池に近いです。

 

「高漏れ電流・低ESR」:最近普及したものです。超低ESRなので、ものすごい電流が流せます。数十Aとか数百Aとか目の玉が飛び出すような電流が流れます。しかし漏れ電流が大きいので、一回ためたものを長時間保持することは出来ません。「大電流を一瞬でためて一瞬で使い切る」という用途に最適なので、ハイブリッド自動車で一時的に電気を蓄えるのに使われたりしています。(ハイブリッド自動車のメインバッテリーはリチウムイオンですが、その補助として電気二重層がついていたりします)

 

これを知らないとネットの記事を読んでいて、ある記事では「大電流が流せる!」と言っていて他の記事では「小さな電流しか流せない」と言っているので混乱すると思います。

この両パターンが有るので、どちらのことを言っているか気をつけましょう。

 

 

めったに使わないコンデンサシリーズ

今となっては低電圧機器で全然使わないコンデンサたちです。

アマチュアでは結構使いますけれどもね(普通に売ってはいます)

 

フィルムコンデンサ

フィルムをグルグル巻いたコンデンサです。

数pFから1uF程度のラインナップです。

高周波で使えるので昔は多用されましたが、これも積層セラミックコンデンサに取って代わられました。

(本当に積層セラミックコンデンサが他のコンデンサ全てを駆逐しています)

ただ、耐圧が630Vなど高いものがあるので、AC機器や高電圧機器にはいまでも使われているようです。

あと、音質的に歪みが少ないとのことでオーディオ機器で使われています。

 

タンタル電解コンデンサ

超危険!

今時こんなものつかうな!!というコンデンサです。

ちょっとした高電圧で簡単にショートする、燃える、という最悪な部品です!

普通の会社では使用禁止な部品です。

 

なんでこんなものがあるのでしょうか。

昔は「積層セラミックコンデンサ」なんていう高機能なコンデンサはなかったわけです。

導電性高分子アルミ電解コンデンサもなかったわけです。

そうすると、大容量だけど低周波数でしか使えない「アルミ電解コンデンサ」と高周波数で使えるけど容量が小さすぎる「フィルムコンデンサ」しかなかったんです。

そうするとその間を埋めるコンデンサが必要で、それがこのタンタルでした。

そこそこ大容量でそこそこ高周波数でも使えるコンデンサです。

他に代替がないので、危ないのを承知でこれを使っていたわけです。

しかし、積層セラミックコンデンサが普及してしまったので、もう今となっては利点はありません。

積層セラミックコンデンサのほうが高周波の特性が良いですし、なにより危険性が格段に低いです。

今となっては過去の部品です。

 

酸化ニオブコンデンサ

タンタルの後釜です。

でも積層セラミックがありますからね、あんまり使いません。

ですが、高容量のものが積層セラミックより小型になる場合がありますので、あまりに面積に余裕が無い時はピンポイントでこれを使うこともまれにあります。

 

その他超マイナー

「オイルコンデンサ」「紙コンデンサ」……

コンデンサというのは二枚の電極を向かい合わせて間になにか挟む(あるいはなにも挟まなくてもいい)だけでできてしまう部品ですので、ありとあらゆる組み合わせのコンデンサがこの世に存在します。

しかし、こんな変なものは普通は使いません。

どういうところで使われているかというと、高級オーディオやアマチュアオーディオの世界で使われています。

コンデンサのちょっとした特性の違いで音の響きが微妙に変わるため、スピーカーの中のコンデンサやアンプの中のコンデンサをいろいろなものに取り替えて楽しんでいる人達がいるのです。

まぁ、このあたりはこのブログで触れません。

一応業務上で必要な知識についてのブログなので。

 

 

以上、小田切でした!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

電子回路の専門家がいない会社さん・個人事業主さんをターゲットとした、

電子回路のコンサルティングを行っています。


電子回路設計 コンサルティング 問い合わせページ

SNSでもご購読できます。

コメント

  1. 向 法祥 より:

    AC のみに使用されるモーター起動用のコンデンサー
    AC125V
    AC250V
    がありますが DCで使用する場合 それぞれの耐圧を
    教ええ下さい

    1. kisuku より:

      AC125Vは、(√2をかけて)最大176Vに達します。
      なのでそのコンデンサの最大DC耐圧は176Vだと想定されます。

      しかし、コンデンサは単相モータの始動のための専用設計コンデンサですので、その他の用途の使用に向きません。
      DCをかけて使用するのであれば他のコンデンサを使用したほうがよいと思います。
      (個人的な実験ならやってみてもいいと思いますが、短時間で壊れる可能性あります)
      ↓メーカサイト
      https://www.to-ei.co.jp/products/index.php/item?cell003=%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%89%B1%E3%81%84%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B5&name=AC%E9%9B%BB%E8%A7%A3%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B5&id=3

Comments are closed.