電波関係

日本国内の電波の割り振り状況を知りたい時

無線機器などの設計に関わると、

 

「日本国内の電波ってどういう割り振りになっているんだ?」

 

と疑問に思うことがよく有ります。

 

実際の設計では、「900MHz帯をつかいます!」とか「400MHz帯をつかいます!」とか決め打ちなので、日本国内のすべての電波の割り振り状態を知りたいということはあんまないんですけどね。

それでも、予備知識として見ておきたいということがあります。

 

そんなときは、総務省のWEBサイトをみればいい!

 

我ながらなんてひねりのない回答でしょうか。

 

総務省 周波数割当て

http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/

 

見てみると分かるのですが、すべてぎっちりです。

隙間がありません。

隙間があるところはすべてアマチュア無線などに割当されるでしょうから、当たり前といえば当たり前で

す。

電波については下から上まで使い尽くされていることがよくわかります。

 

そして、すごく細切れです。

もっとざっくり区切ってあればいいのですが、すごく細かい刻みで用途が分かれています。

これではEUと電波周波数を合わせようと思っても無理なわけです。

これだけ細分化して用途が振られていれば、ずらそうにもずらすことができません。

 

この割当を見て仕事に活かすということはすくないかもしれませんが、いざという時のために頭の隅においておくといいと思います。

いつでも総務省のWEBでみることができます。

 

以上、小田切でした。

無線設計は本当にハードル高い!

という話について。

通常の回路設計が問題なくできるスキルがあっても、無線を扱う回路を作るとトラブル多発するよ、という話です。

無線が難しいのは当たり前なので、特に目新しい話ではないですが、今回の事例で見えてきたポイントについて解説したいと思います。

 

◯無線は微弱なノイズが問題になる

通常の基板でもノイズが酷いとVCCIなどの規格にクリアできなくなります。

しかし、しょせんそのレベルです。

無線になるとVCCIとはレベルが違うわずかなノイズでも問題になります。

ノイズがあっても通信はできるのですが、受信系の性能が極端に落ちるので通信到達距離が短くなります。

 

◯理想的なレイアウトをしないと性能が出ない

デジタル回路では多少乱暴な配線をしても、デジタル信号の伝達に影響がなければ動きます。

しかし、無線ではちょっとした不備で性能が出なくなってしまいます。

小さな基盤に押し込むとなると無理がでやすいのです。

特にGNDが弱くなるとそこにノイズが乗ってしまうようです。

 

◯マッチングが難しい

電波を扱うICとアンテナの間にマッチング回路という物があり、この定数を調整することでアンテナの性能を出します。

この調整「マッチング」を行わないとアンテナの性能が引き出せません。

普通にデジタル回路を設計しているだけではこの知識は身につかないので、新たに勉強するか別の専門家が必要です。

今回のプロジェクトでは別の専門家が付いていました。

 

◯測定が難しい

マッチングをしてから実際に通信距離の評価をしないといけませんが、

距離が長くなると研究室で行う訳にはいきません。

必然的に外でやる必要があり、広い公園のような場所かオープンサイトを借りて行うことになります。

そういう場所が近くにないとマッチングの評価作業が進みません。

こんなところもハードルの一つです。

 

◯電波法にクリアするための知識を得ないと行けない

電波を扱うので法律をクリアしないといけないのですが、測定方法や基準などの知識がないと手が出せません。

そういった所を勉強するのも大変なポイントです。

 

◯申請系が面倒

どういう風に申請するかなどのポイントを踏まえた上で、TELECなどで申請をして試験をします。

しかし、そういったところに出す書類も初見では意味がわからなくてどう書いていいかわかりません。

そういうところも窓口に確認しながら進めなくてはならず、スムーズに進まない点です。

 

◯トラブルが出ると追い込みが難しい

普通のトラブルはオシロスコープで各部の波形を見れば見当がつくことが多いですが、

無線系になってくるとオシロスコープでは無理です。

基本的にスペクトラムアナライザーで見ることになりますが、「~~MHzがおかしい」とわかっても実際に回路のどこが原因かはっきりしないことも多いです。

そういった面で、普通の回路よりもトラブル対応が難しいです。

 

とまぁ、こんな形で非常に面倒なのが無線です。

できることなら関わりたくない。

しかしそうも行かないのが実情です。

 

以上、小田切でした。

電源ノイズが大変ならLDOにしてしまえ!

今開発している基板でノイズが問題になっています。

ノイズフロアが高くてRFの性能が出ない!

 

そして、よくよく解析しているとどうにもDCDCコンバータがノイズを出している模様。

しかしこのDCDCコンバータ、外付けしているものではなくRFICに内蔵されているDCDCです。

つまり、他のDCDCコンバータに変えると言ったことができません。

 

しかし、こういうICの内蔵電源というのは、たいてい「外部供給もできるよ」となっています。

推奨ではないのであまり詳しく説明されて居ないことも多いです。

そして、評価ボードの回路も内蔵電源をつかう回路になっています。

つまり、外部供給にするのはあくまでオプション扱いで情報が少ないわけです。

 

しかし、内部のDCDCを無効にして外部から電源を供給することで、実際にノイズが大幅に減りました。

ということで、外部から電源を供給する方向で行く予定です。

 

このように内蔵電源を使うとイマイチ性能が出ないこともある模様。

評価ボードの回路だからと言ってアートワークなどの制限もあり、コピーして性能が出るとは限りません。

そんなときは思い切ってLDOでクリーンな外部電源を使うのも手です。

 

以上、小田切でした。

ノイズ対策のめどの付け方

基板を作ったけど、VCCIが通らない!

と、なったらだいたいパニックになってやたらめったら対策部品をつけたり、いろんな手をうつとおもいます。

ですが、それ、泥沼になります。

 

大事なこと:すべての対策部品を施してから、部品を減らしていく

 

これが大事です。

何も考えずにやっていると、ありとあらゆる対策の組み合わせが発生してしまい手に負えなくなります。

 

1,考えうるすべての対策部品を施す(シールド追加やノイズ除去フィルター追加、フェライトコア追加など)

2,その状態でVCCIに通っていることを確認する

(それでも通らなかったら解析をもっとしないと駄目です)

3,対策部品を一つずつ外していく。

4,VCCIをクリアできなくなったらやめる。

 

一つずつ追加しているといつまで経っても「VCCIをクリアできる正解」にたどり着けない可能性があります。

そこでまずどれだけコストがかかるかを度外視で、全部のせで「正解」を作ってしまうのです。

そして、そこから部品を取っていって、できるだけコストがかからない「正解」を見つけるのです。

 

これはVCCIだけでなくノイズ系のトラブルでは全般で使えるので、是非とも覚えておきましょう。

 

以上、小田切でした。

無線を扱うときはGNDを大事に

無線を扱う回路を小さな基板に組み込んだら、受信信号にノイズが増えて性能が出ません。

という悲しいことが有りました。

 

無線機器というのは送信する方はパワーがあるので良いのですが、受信するときは本当にかすかな信号を捉えています。

となると、ノイズに非常に弱いわけです。

普通の感覚で設計するとVCCIなどノイズ基準を通すものは作れますが、無線機器のパフォーマンスを出すための設計となるとさらに念入りな処理が必要なようです。

 

今回問題となっているのはどうもGNDのようです。

評価ボードなどはGNDが大きく理想的な配線ができているためノイズレベルが非常に低いです。

しかし、新規設計した基板は面積が小さくGNDの面積が小さくなっています。

RF部のしたはGNDで埋めているので、デジタル部とRF部が直結しているわけではないのですが、それでも性能が劣化してしまうようです。

 

ということで、無線機器を作るときは普通の設計のように詰め込まないで、だいぶ余裕を持たせてGNDベタを張り込まないと駄目なようです。

 

以上、小田切でした。

高周波測定はケーブルも大事!

無線通信で使うような、400MHzや900MHz、2.4GHzなどの高周波になるとちょっとしたことが大きく影響するようになってきます。

例えば、数十kHzのUART波形を測定する際に、太い線で引き出そうがエナメル線で引き出そうが、波形はほとんどかわりません。

というか、違いがわかりません。

 

ところが、高周波になってくるとそういったことが大きく影響してきます。

実は最近そういうことがありました。

900MHzを使う無線機器で、電波の出力レベルの確認のため基板から配線を引き出しました。

測定器側は同軸で入力するので、同軸ケーブルを使用します。

ですが、同軸ケーブルは硬いので基板の細かなパターンに直接はんだ付けすると、ケーブルのしなりでパターンが剥がれてしまいそうになります。

ということで、まず、基板上のパターンから3-4cmほどエナメル線で引き出し、そこから同軸ケーブルにつなげました。

しかし、この後数値が違うという問題になり・・・

結局のところ、そのエナメル線が問題だとわかりました。

同軸ケーブルの中に3-4cmのエナメル線部分があるだけで、なんと出力が3分の1以下になっていました。

 

「高周波を通すときは同軸ケーブルを使用して、高周波の出力部分から測定器まで特性インピーダンス50Ωで通す」

のが基本ですから、もちろんエナメル線は問題です。

私は基本的にはよくないと分かっていながらも、基板を壊すわけには行かなかったので「そこまで影響ないだろう」と甘く見ていました。

ところが想像以上に大きく変化していました。

 

ということで、みなさんも高周波を扱うときは気をつけましょう。

ケーブルを接続する際にも50Ωの線路から直接同軸ケーブルに繋がるように、上手くはんだ付けしましょう。

 

以上、小田切でした。

無線機器の技術基準適合証明と工事設計認証

無線機器を作って世に出す場合、電波法という法律を守る必要があります。

そして、それは「守ってるよ!」と自己主張すればいいというものではなく、きちんとデータを揃えて提出しないといけません。

普通はやり方がわからないので、試験機関に協力してもらってデータを揃えて提出することになります。

 

今回は無線設備の申告方法についてちょっと書きたいと思います。

それには大きく2つあります。

 

◯技術基準適合証明

実際の製品を試験機関で測定or測定データを用意して申告する方法です。

製品が100台あったら100台すべてのデータを用意して提出する必要があります。

一見面倒ですが、台数が少ない場合はこちらが簡単です。

 

◯工事設計認証

1機種に付き1台のデータを用意or試験機関で測定して申告する方法です。

100台でも1000台でも、データは1台分でいいです。

大量に作る場合はこちらほうがいいですが、その1台と同じように他の機器が製造されることを保証しないといけません。

なので、台数が少ない場合は全社の技術基準適合証明のほうが簡単です。

 

とこのように二つの方法があります。

 

以上、小田切でした。