ダイオードの種類について説明します。
ウィキペディアをみると真空管ダイオードまで紹介されていますが、実際の業務で使うものではないので・・・
リアルな業務で使用している部品について「のみ」説明します。
これだけ知っていれば、プロの設計者とも会話が成り立つ・・・かも?
■ダイオード(PNダイオード)
ウィキペディアでは「PNダイオード」と書かれていますが、業務ではそんな呼び方しません。
単純に「ダイオード」と呼ばれます。
なので、「ダイオード」と言っているのは「PNダイオード」のことなのか「ダイオード全体の総称」をいっているのかを文脈から判断することが必要です。
◯特徴
・高電圧に耐える物がある:例:12,000V耐圧
・電圧降下が大きい:0.6-0.7V以上
・逆方向電流が小さい:uAオーダー
◯用途
用途は上の特徴から導かれます。
・高電圧の整流(AC100VからDCを作る場合など)
・小電流の整流
・逆方向電流が問題になる回路(簡単に説明できないので、上級編でいつか)
◯メリット
高電圧でも使えるし、安いです。
◯デメリット
電圧降下が大きいので、大電流が流れるところに使うとダイオードが電力をたくさん消費してしまいます。
なので電圧が低くて電流が大きいスマホや小型家電では、電源の整流にはこの部品は使いません。
といっても、高電圧の整流ではこれを使うしか無いので、電流が大きくてもACの整流にはこれを使います。
■ショットキーバリアダイオード(ショットキーダイオード)
普通のダイオードに対してこんなダイオードがあります。
電圧降下が小さいダイオードです。
◯特徴
・低電圧でしか使えない:100V超えのものもあるが、数十Vが普通
・電圧降下が小さい:0.2V以上
・逆方向電流が大きい:mAオーダー
◯用途
・低電圧機器の大電流の整流
・逆方向電流が問題にならない回路(簡単に説明できないので、上級編でいつか)
◯メリット
無印なダイオードと違って電圧降下が小さいので、ダイオードで消費される無駄な電力が少ないです。
PCやスマホなどDC20V以下の製品は大体このダイオードを多用しています。
◯デメリット
しかし、残念なことに耐圧が低いのでAC100Vなどには使えません。
100V以上の耐圧が高いものもありますが、ショットキーバリアダイオードなのに電圧降下が大きかったりしてイマイチです。
あと、逆方向電流が大きいのでそれが問題になることもあります。
ダイオードの基本は整流なのですが、実はそれ以外に特殊な用途に使うダイオードがあります。
■ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)
逆方向に電圧をかけると両端が一定電圧に保たれるダイオード。
普通のダイオードはアノードからカソードに電流を流す形で使用しますが、これは逆にカソードからアノードに電流を流します。
教科書的には回路内で基準電圧を生成するのに使用したりします……が、現実ではそういうのは精度がいいICを使うことが多いです。
なので、実際にツェナーダイオードで基準電圧を作るケースは非常に少ないです。
あとは一定電圧になると導通するという特性を活かして、静電気などのノイズ保護にも使用します。
(ふだん低電圧の信号が通っているときはほぼ絶縁状態で影響なく、高電圧がかかったときだけ導通する)
■LED(発光ダイオード)
みんな大好きLED。
電気的にはダイオードですが、光るので照明やインジケータとして使用されます。
■その他
定電流ダイオード:ダイオードという名前がついていますが、中身はダイオードじゃないです。
以上、小田切でした。