LDOの特性を見ていくと「リップル除去率」というものがあります。
LDOで例えば5Vから3.3Vをつくるとします。
しかし、5Vが揺れていて±0.1Vの間をフラフラしています。
すると、出て来る3.3Vも±0.1V変動するのでしょうか。
いえ、それが違います。
それがリップル除去率です。
例えばリップル除去率が60dBのばあい、20dBで10倍ですから、1000倍になります。
ということは、入力が±0.1V揺れていても、出力は±0.1mVということになります。
LDO自体が出すノイズやその先の回路の消費電流変動による電圧変化のほうが大きいでしょうから、
実質的には入力元が±0.1V揺れていた影響はまったくないということになります。
これを聞くと非常に素晴らしく感じると思います。
「どんな汚い電源でもLDOを挟めばすごくきれいになるんだ。素晴らしい」
しかし、実はそうではありません。
まず、LDOというのはそんなに速い動きをするデバイスではありません。
あんまり俊敏に動くと電圧変動に過敏反応して発振してしまいます。
なので、位相保証などの機能であえて動きを抑えてあります。
ということは、遅い動きには対応できても、速い動きには対応できません。
LDOのリップル除去率のグラフを見てみると、たいていどんなLDOでも周波数が上がるとリップル除去率は落ちていきます。
よくても数百kHz程度が実用域です。
(10kHzぐらいで効かなくなるものもあります)
数MHz以上のノイズを除去する能力はほとんどありません。
ということで、リップル除去能力は非常にありがたいものですが、低い周波数専用です。
もし、LDOを使って綺麗な電源を作りたいのであれば、インダクタやフェライトビーズと組み合わせましょう。
そうすると、高周波も低周波もノイズを抑えた電源が作れます。
以上、小田切でした。