最近、POLと言う言葉をよく聞きます。
POLというのは「Point of Load」(負荷の点)のことです。
POLという単語から、そういう部品があるのか想像してしまいますが、そういうわけではありません。
ちなみに「負荷」という言葉があるので、電源用語です。
簡単な回路や旧来の回路では、デジタル回路が使う電源は5Vや3.3Vの単一で、電流もあまり多くありません。
現在でも小規模な組み込み回路ではこれが当てはまります。
こういう回路では、普通にLDOだとかDCDCで5Vや3.3Vを作って基板全体に供給すれば問題ありません。
しかし、今のデジタル回路というのは電源も多ければ、電流も多いのです。
・5V
・3.3V
・2.8V
・1.5V
・1.2V
etc…
と場合によっては10電源以上あったりします。
しかも、それぞれの電圧の正確性も必要で電流も多いです。
例えば「1.2V±0.05V、1A」の電源が必要としましょう。
すると、もし電源回路とICの間に0.1Ωの抵抗があると、1A×0.1Ω=0.1Vの電圧降下が発生して範囲を外れてしまいます。
こういう厳しい条件になると0.1Ω程度の僅かな抵抗でも問題になってしまうのです。
とまぁ、こんな状況から生まれたのがPOLという考え方です。
POLという部品があるわけではなく、「負荷の近くで電源を作ろう」という考えです。
POLを実際に作るには普通のLDOやDCDCを使用します。
これまでの考えでは、1.2Vが必要な部品が二つあったら、一つの電源で1.2Vを生成して分配して供給していました。
しかし、先程のように僅かな抵抗でも問題になってしまうので、長い配線になってしまうと破綻してしまいます。
POLの考え方では、1.2Vが必要な部品が二つあったら、電源を二つ使います。
まず、それぞれの部品の近くに高い電圧(1.8Vとか3.3Vとか)を供給し、部品の隣で1.2Vを生成します。
こうすると電源生成部と部品の距離が限りなくゼロになり、配線抵抗もゼロに近くなります。
これにより、大電流でも高精度な電源が供給できるわけです。
このように、電源が増えて大電流になってくると発送の転換も必要になります。
以上、小田切でした。