スケジュールは週単位まで分割して期日は日単位で!

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ちょっと回路設計から離れますが、実際にはとっても大事なプロジェクトのスケジュールの話をします。

 

これまでの経験上、おおざっぱなスケジュールは確実に死にます。

 

「来年の8月までに製品出荷だ」

 

これは100%死にます。

おそらくプロジェクトは最初から何も進まないことでしょう。

 

 

「来年の8月に量産だから試作を今年の12月までに終えよう」

 

これも99%死にます。

いつなにに取りかかればいいかわからないため、なにも始まらないでしょう。

 

 

「来年の8月に量産だから、試作を今年の12月、量産試作を来年の4月までに終わらせよう」

 

これでも98%死にます。

結局今何をいつまでにやればいいのかわかりません。

担当者は「まぁ、そのうち指示が飛んできたらやればいいか」と思うだけで作業は始まらないでしょう。

 

 

「来年の8月に量産だから、試作を今年の12月、量産試作を来年の4月までに終わらせよう。

試作まであと4ヶ月あるから、3ヶ月で作って一月でデバッグしよう」

 

こんな感じも80%死にます。

担当者は「4ヶ月で試作か~」とぼちぼち作業を始めますが、細かな作業の期日がないのでずるずると仕様検討などが長引き、気がついたら12月になってもまだ仕様検討していたりします。

作業は進みますが、このスケジュールは絶対に遅れます。

 

 

「来年の8月に量産だから、試作を今年の12月、量産試作を来年の4月までに終わらせよう。

試作まであと4ヶ月あるから、3ヶ月で作って一月でデバッグしよう。

そのためには、仕様を一月で決めて、回路設計を一月でやって、あとアートワークと部品手配と作成&実装を一月でやろう」

 

ここまでくるとだいぶマシですが、それでも60%死にます。

仕様を1月、みたいな指定の仕方をしていると、だいたい1月ではなく1.5ヶ月ぐらいかかったりします。(これ本当。ずるずる遅れる)

高い確率でそれぞれのステップが遅れていき、恐らく試作が完成するのは来年の2月頃になっているでしょう。

 

 

「来年の8月に量産だから、試作を今年の12月、量産試作を来年の4月までに終わらせよう。

試作まであと4ヶ月あるから、3ヶ月で作って一月でデバッグしよう。

そのためには、仕様を4週間で決めて、回路設計を4週間でやって、あとアートワークを2週間、生板作成を1週間、部品実装を1週間でやろう。

部品手配をアートワークと並行して3週間かけて、部品実装に間に合わせよう」

 

ここまでくるとだいぶ良いです。

死亡率は30%まで落ちます。

ポイントは作業を一週間単位までばらしたことです。

これで1月の作業が1.5ヶ月に伸びるということがほぼなくなります。

また、前回は1月という単位であつかったことで「アートワーク・部品手配・実装」などの1月未満のタスクが一緒くたに扱われてしまっていましたが、今回はそれぞれがきちんと個別で扱われるようになりました。

スケジュールの曖昧さはそのまま作業の曖昧さにつながり、絶対に上手く行きません。

 

ですが、また問題があります。

期日が不明確なのです。

仕様確定が4週間と言っていますが、それが終わるのは具体的にいつなのか。

今日が8/1として、8/25なのか8/31なのか9/1なのか。

そのぐらいいい、と思われるかもしれませんが、大間違いです。

1月が1.5ヶ月といった大きなズレはなくなりましたが、数日単位のズレは確実に蓄積していきます。

結果として、試作が完成するのは1月遅れぐらいになってしまうでしょう。

 

 

「来年の8月に量産だから、試作を今年の12月、量産試作を来年の4月までに終わらせよう。

試作まであと4ヶ月あるから、3ヶ月で作って一月でデバッグしよう。

そのためには、仕様を4週間で決めて、回路設計を4週間でやって、あとアートワークを2週間、生板作成を1週間、部品実装を1週間でやろう。

部品手配をアートワークと並行して3週間かけて、部品実装に間に合わせよう。

具体的な期日としては・・・

仕様決定は9/1(金)まで。これが間に合わなければスケジュール再検討。

回路設計は10/27(金)まで。これまでに部品表作成と社内レビューも実施する。

アートワーク・部品手配は10/30(月)スタートする。

アートワークは11/10(金)まで。

生板作成は11/17(金)まで。

実装は11/24(金)まで。

 

ここまでやると、死亡率は20%以下にまで下がります。

(死亡率は絶対にゼロにはなりません。トラブルが発生するときも多いので)

ポイントは、先程と違って期日がピッタリと決まっていることです。

これは超大事です。

なぜなら、日にち単位できっちり決まっていると、作業が順調に進むのです。

「あと1週間ぐらい」より「あと5日」の方が残り時間が明確になって、作業の配分がしやすいのです。

そして数日単位のズレが重なっていくこともありません。

さらに締切が明確になっていることで「守らないとまずい」という意識が生まれます。

これは本当に大きな違いです。

 

 

ということで、

・タスクは一週間単位まで分割する

・それぞれのタスクの期日は日にち単位で明確に指定する

ということでガッテンしていただけましたでしょうか?

 

以上、小田切でした!

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