はんだ付け

鉛フリーはんだって?(初心者向け)

もともと普通の「はんだ」には鉛が含まれています。

この「鉛ハンダ」は、溶けやすいしハンダしやすくて大変結構なものなのですが、環境保全の観点で「鉛」が問題になりました。

そのまま捨てられると鉛が土に染み込んでしまい、環境汚染の元になるからです。

 

ということで、鉛を含まない「鉛フリーはんだ」というものが生まれました。

今ではほとんどの製品では「鉛フリーはんだ」を使用していて、従来の「鉛ハンダ」を使用することなどほとんどありません。

(経験上、見たことありません)

電子部品も大抵「鉛フリー対応」と書かれています。

 

ところが、鉛フリーはんだは、扱いにくいんです。

融点が高いので、鉛ハンダより溶けにくく、鉛ハンダより高出力のこてが必要になります。

(実際やってみると「なんだこのハンダ。全然溶けないぞ」って感じます)

さらに濡れ性が悪くて、いい感じにするするっと流れてくれません。

鉛ハンダで綺麗にハンダできていた感覚で扱っても、なかなか綺麗にハンダできません。

 

ということで、業務で扱うなら鉛フリーを使う以外に手はないのですが、アマチュアで扱うなら正直従来の「鉛ハンダ」のほうが圧倒的に扱いやすいです。

もし、鉛フリーはんだで苦しんでいたら、鉛ハンダを買って試してみるのも手です。

 

以上、小田切でした。

実装精度を気にしないといけない部品

量産品の基板に部品を搭載するのは実装マシンです。

 

1,基板にはんだペーストを塗り

2,はんだペーストの上から実装マシンが部品を搭載し、

3,リフロー炉に入れてはんだペーストに熱が入ってハンダが固まり、

4,いっちょ完成!

 

ということです。

 

「人がやるのではなく、メカがやるんだから部品なんてそんなずれないでしょ。実装精度とか気にしなくても大丈夫でしょ」

 

だいたいはそうなんです。

0603みたいな1mmよりはるかに小さい部品でもだいたい大丈夫です。

0.5mmピッチのめっちゃ細かいピンが出ているICでもだいたい大丈夫です。

 

が……実は鬼門が有ります。

 

実装マシンくんはとても正確です。

上下左右のズレなんて0.1mm程度です。

 

ところが、はんだペーストに載った後はんだペーストの上で部品がぬる~と動いてしまうのです。

これはどんなに実装マシンの精度が良くても関係ありません。

 

「絶望的じゃないか!」

 

実は大抵の場合問題ありません。

はんだペーストの上に部品の端子が載ると、粘性があるので端子ははんだペーストの中で上下左右に移動しても外れることはないのです。

 

・実装マシンくんが超絶精度で、超絶小さいパッドに塗られたはんだペーストの中央に超絶小さい部品の端子をきっちり置く

・部品がはんだペーストの上でちょっと滑る

・部品の端子がパッドの中央からずれる(でもパッドからは外れない)

・この状態で炉に入って固定される

 

とこのように、多少ずれてもパッド内での話であり、電気的にはなんの問題もないわけです。

 

「なんだよ驚かせやがって。何の問題もないんじゃないか」

 

ところが電気的にはOKだけじゃだめなのがあるんです。

 

「コネクタ」です。

 

パッド内で端子が移動するだけなので電気的には問題ありませんが、位置がずれてしまいます。

通常、縦横方向のズレはあんまり問題ありません。

問題は回転です。

僅かに2-3度ずれただけでもダメになる場合があります。

 

例えば、こんな基板を考えましょう。

・PCI-EXPRESSのコネクタがついている

・その数cm先にPCI-EXPRESSカード固定用のネジ穴が開けてある。

 

はい、ここでPCI-EXPRESSのコネクタが2-3度でも回ったらどうなりますか。

PCI-EXPRESSカードを指した時、カードのネジ穴と基板のネジ穴が合わなくなります。

つまり、アウト!

 

ということで、少しでも位置がずれたらアウトなコネクタを扱うとき「だけ」は実装精度を気にしないといけません。

 

以上、小田切でした。

まさか、今時ハンダゴテ一つではんだ付けしてない?

まさか、まさかまさか、現場ではんだごて一つで基板と格闘してませんよね!?

ありえないと思いますけど、そんなことあったりします!?

 

コテ一つじゃ熱量が足りない!

最近の基板は普通に4層くらいあります。

たまに2層もありますが・・・

何が言いたいかというと、とにかく基板の中身が銅で埋まっているということです。

スカスカのダメ設計の基板ならとにかく、普通にGNDベタを入れていれば、基板全面に銅箔が貼られているわけです。

つまり、ちょっとやそっとの熱を加えてもそこに熱が逃げてしまうので、全然温度が上がらない!!

GNDにつながっていない部品ならまだいいですが、GNDにつながっている部品は基板全体を暖めるつもりで熱を加えないと取れないし、ハンダも載りません。

 

鉛フリーは更に溶けにくい!

昔のなまりハンダはまだよかったのですが、今のハンダは全て鉛フリーですから、融点が上がっていて更にとけにくい!

なんかもうヤケクソのように熱を与えないと溶けてくれません。

 

コテ一つじゃ端子の片方にしか当たれない!

例えば、GNDにつながっている代表格はコンデンサです。

積層セラミックコンデンサだとすると、長方形をしていて両端が端子です。

当然ですが両方に熱を加えないと部品は外れません。

「片方に熱を加えて熱くなったところでもう片方に当たればいいじゃん」

とか、そんなの無理です。

今の基板は放熱がすごく良い上に、溶けにくい鉛フリーなんです。

コテを離した瞬間にすぐに固まってしまいます。

 

結論

ハンダゴテは二つ用意して下さい!

一つじゃどうにもなりません!

積層セラミックのような部品を外すときには二つのコテで両方から挟み込む。

そうしないと作業になりません!

 

以上、風邪でやけくそ気味な小田切でした。