コンデンサ

電子回路で一番最初に寿命が来る部品は?

電子回路というのは物理的に動くわけでもないし、なんとなく永遠に動きそうなイメージが有ります。

しかし、実際には寿命があります。

そのなかでも一番寿命が短いのはなんでしょうか?

特殊なセンサーとかごくごく一部のものではなく、一般的な回路の中で一番寿命が短いものです。

 

・・・

・・・

・・・

 

はい、答えは「電解コンデンサ」です。

殆どの部品はシリコンやセラミックで出来ているのですが、電解コンデンサだけ「液体」を使っています。

つまり、生物(なまもの)なわけです。

どんどん液体が蒸発していき、容量が小さくなっていき、最終的にコンデンサの役割をしなくなります。

 

しかも、高温では想像以上に寿命が短いです。

例えば「85℃ 1000時間」という電解コンデンサが標準ですが、これはわずか41日で寿命が来ます。

製品を使い始めて1月少しでダメになるわけです。

 

これでは話になりません。

ここにはからくりがあって、10℃下がるごとに寿命が2倍になります。

なので、25℃で使えば、64倍になって7年持ちます。

 

ということで、寿命を考えるときには電解コンデンサに注目しましょう。

オールセラミックコンデンサの基板はかなり長い間使えると想定できます。

 

以上、小田切でした。

積層セラミックコンデンサの温度による影響は?

前回は電解コンデンサの温度による影響を説明しました。

今回は積層セラミックコンデンサについて説明したいと思います。

 

積層セラミックコンデンサも温度によって「容量」が変化してしまいます。

しかも、温度が低ければ小さくなって、温度が高くなれば大きくなる、というようなわかりやすい関係ばかりではありません。

積層セラミックコンデンサには「温度特性」が規定されていて、いろいろあります。

 

・非常に安定していて温度が変化してもほとんど容量が変わらないもの

・低温で容量が減り、高温で容量が増えるもの

・常温あたりで容量が最大になり、低温でも高温でも容量が小さくなるもの

 

非常に厄介に思えますが、面倒くさいゆえに積層セラミックコンデンサはきちんと温度特性が公開されています。

電解コンデンサは温度特性が公開されていることは少なく、当て推量で扱わないといけません。

しかし、積セラは資料がきちんとあるので、特性としては面倒ですが事前の検討はとてもやりやすいのです。

 

ということで、積セラを扱う時、とくに容量の変化に敏感な回路に積セラを使うときは、データシートを見て温度特性を確認しましょう!

 

以上、小田切でした。

電解コンデンサは温度で何が変わるか?

実は電解コンデンサに限らず他のコンデンサも温度で特性が変わるのですが……

今回はわかりやすい電解コンデンサについて説明したいと思います。

 

電解コンデンサは電解液に浸されていますので、その液体の温度が下がると電子が動きにくくなります。

ということで、一般的に温度が低いほど性能が悪化します。

 

◯静電容量

温度が低いと、なんと静電容量自体が小さくなります。

 

◯ESR(内部抵抗)

温度が低いと電解液の動きが悪くなって、内部抵抗が大きくなります。

 

◯漏れ電流

この要素だけ逆です。

温度が高いほど大きくなります。

 

こんな特性を持っていますので、電解コンデンサをパスコンとして使った場合、こんなことが実際に置きます。

1,温度が低くなるとノイズが大きくなる。

2,温度が低くなると正常に動かない(古くなった家電やパソコンでもたまに起こります)

3,温度が高くなると漏れ電流が大きくなってオーディオ回路などが正常動作しない

4,温度が高くなると漏れ電流が大きくなって電池が早く終る

 

こんな風に低温でも高温でもやっかいなものなんです。

 

以上、小田切でした。

積層セラミックコンデンサのクラックについて

ちょっとマニアックな話ですが、実際の現場では問題になる話について書きたいと思います。

それは「積層セラミックコンデンサのクラック!」。

VCUTなどの基板を割る時に、基板というのはたわみます。

特に、基板の端には大きな力がかかります。

 

積層セラミックコンデンサというのは、セラミック=焼き物で出来ています。

つまり、ものすごく割れやすい部品なんです。

衝撃や歪みで割れてしまいます。

だから、基板を割る時にクラックが入ってしまいます。

しかも、「ちょっとだけショート」「ちょっとだけ容量抜け」みたいな状態になってしまうので、

壊れたかどうかわからない場合も多いです。

 

ということで・・・変なふうに壊れないようにこういう対処が必要になります。

 

1,基板の端に積層セラミックコンデンサを置かない

これが一番です。

 

2,どうしても基板の端に積セラを置くときは、長辺が基板の端と並行になるようにする。

NGパターン

image

これは積セラの長辺方向が歪むのでクラック入りやすいです。

 

OKパターン

image

これだと積セラの短辺方向が歪むので、クラックは入りにくいです。

 

3,積セラの横はルーターカットを入れる

要はVCUTだと歪みが発生するわけです。

だから、積セラのすぐ横はルーターカットを入れればVCUTでなくなるので歪みは減ります。

image

↑左の長丸部分にVCUT

 

 

以上、小田切でした!

コンデンサ(パスコン)の容量の決め方(初心者向け)

検索ワードを調べていた所、「コンデンサ 容量 決め方」という検索ワードが合ったので、ちょっと書いてみることにしました。

おそらく容量を決めるのに困るのは電源に使うパスコンのことだと思います。

いわゆるフィルターに使うコンデンサというのは、周波数特性を決めれば計算できますから困らないはずです。

(そういうの簡単に計算できるサイトもありますしね)

 

自分もそうでしたが、初心者の時に一番困ったのはバイパスコンデンサ、いわゆるパスコンの容量の設定でした。

ノイズを吸収したり、電源のふらつきを抑制するためのコンデンサですが、さてどうやって決めるのでしょうか。

 

 

経験(過去の回路のコピペ)

いきなりざっくりで申し訳ない。

しかし、結構このパターンはあります。

なにか計算根拠があるわけでなく、単純に「前はこの回路で動いた。コピペして同じ回路にすれば大丈夫だろう」というやつです。

そんなのでいいのかと言われるかもしれませんが、実際の所結構あるんですよ。

一から回路を組んでいるとそれなりに時間がかかるので、昔の回路の一部をコピペして使うのはよくある手です。

 

データシートに記載がある場合

電源ICや高速ICになるとだいたいデータシートにコンデンサの接続例と容量が載っています。

特別な理由がない限り、そこはそのままにします。

というのは、なにかあったときに「お宅の推奨例にそってやったのにおかしいんだけど?」と部品メーカーに文句つけられるからです。

嘘に思えるかもしれませんが、これは本当です。

なにかあると部品メーカーとやり合わないといけないので、「推奨されている使い方を守っている」という形にすることが大事です。

 

データシートに記載がない場合

例えばロジックIC。(NOTとかANDとか)

他にも低速なICや、オペアンプ・コンパレータなどのアナログ部品など。

こんなものはデータシートにパスコンの推奨容量が載っていない場合が多いです。

そんなときは、基本的に0.1uFを付けてしまいます。

「0.1uFで本当にいいのか?」と言われると、悩んでしまいますが……

村田の1005 0.1uF/50Vの積層セラミックコンデンサの自己共振周波数を調べると、約30MHzです。

ということはそれ以下の周波数ならほぼ問題ないわけです。

実際問題、こういった部品は数MHzまたは数Hzなどの低速動作なのであまり問題にならないわけです。

 

 

残りは大電流ライン

データシートに記載があるICは記載にならいました。

データシートに記載がないICは0.1uFつけました。

これで正直、動いちゃいます。

(それで動くように部品は設計されているので)

しかし、やっぱり最低限過ぎて怖いので、実際にはもう少しコンデンサを追加します。

追加するラインは大電流ラインです。

 

まず、電源大元。

ACアダプタなどで入ってくるラインです。

1A程度の機器であれば数百uF~1000uF程度をつけることが多いです。

(これは電源のバッファ用で高周波特性はいらないので、安いアルミ電解コンデンサを使います)

ただ、小型化に伴ってアルミ電解コンデンサを実装する面積・高さがない場合もあります。

その際には積層セラミックコンデンサを実装しますが、価格・面積的にそんな大容量はとれません。

積層セラミックの場合はだいたい100uF以下でOKとしてしまいます。

実際、これで問題が出たことはありません。

 

次に電流を使用する部品です。

例えばブザーです。

ブザーにコンデンサを付けるという発想がない方もいらっしゃるかもしれませんが、ブザーは激しくON/OFFを繰り返すので電流変動が酷いです。

なので、ブザー近辺に10uF程度の積層セラミックをつけることが多いです。

また、当然モーターやモータードライバにもコンデンサを追加します。

 

と、まぁ、こんな感じです。

データシートに記載されていない部分については、その会社内での「常識」による所が結構大きいです。

その会社内で「問題がなかった」という実績がある値です。

 

以上、小田切でした。

コンデンサの役割はノイズを吸収すること(初心者向け)

コンデンサの役割はいろいろありますが、一番多いのはノイズ吸収することです。

それについて簡単に説明したいと思います。

 

接続方法

電源のノイズを吸収するときはこう接続します。

簡単ですね。電源とGNDの間に接続するだけです。

image

 

 

そもそも電源のノイズとはなにか?

電源のノイズというものはそもそも何でしょう。

それは電圧の変化のことです。

電圧が激しく変化すると、部品が誤動作したり電波として基板の外に放出されたりします。

だから、「電源のノイズ=電圧変動」を抑える必要があるのです。

 

なぜ電圧変動が発生するのか?

入ってくる電源が不安定だったりすると、当然電圧が変動します。

じゃあ、電源の電圧が安定していれば電圧が変動しないかというと、そんなこともありません。

配線や基板のパターンには抵抗成分がありますよね?

抵抗成分があるということには、電圧降下が発生します。

つまり、「回路の中の電圧=電源電圧-抵抗成分の電圧降下」になるわけです。

さらに、「抵抗成分の電圧降下=配線・パターンの抵抗成分×電流」です。

ということは、「電流が変化する」→「抵抗成分の電圧降下が変化する」→「回路の中の電圧が変化する」ということになります。

つまり、どんな安定した電源を使用していたとしても、電流が一定じゃない限り電圧が変動してしまうのです。

困ったことにデジタル回路というのは激しく電流が変化するので、電圧変動は必ず起きてしまうのです。

 

なぜコンデンサで電圧変動が減るのか?

コンデンサというのは電気を蓄えます。

自分の電圧が、つながれている回路の電圧より低ければ、充電します。

自分の電圧のほうが高い場合は放電します。

つまり、電圧を均すような働きをするのです。

なので、電圧変動が減ります。

(いま、ものすごくざっくり話をしています)

 

ノイズを減らすためのコンデンサの選び方は?

まずは容量があります。

容量が少ないと充電できる量も放電できる量も小さいので、たくさん電流を消費している回路ではコンデンサの電気が足らなくなってしまいます。

つまり、変動を抑えることができなくなります。

なので、ある程度の容量が必要になります。

 

つぎに自己共振周波数というものがあります。

これはそのコンデンサが扱える最大周波数のことです。

アルミ電解コンデンサは自己共振周波数が10kHz~100kHz程度とされているので、それより早い電圧変動には対処できません。

積層セラミックコンデンサは1MHz以上、ものによってはGHzまで使えます。

なので、高い周波数の電圧変動には積層セラミックコンデンサが必要になります。

 

さらにESRという要素があります。

これはコンデンサの抵抗成分のことです。

回路図で示すとこんな感じです。

image

電源とGNDの間に直接コンデンサを入れているはずが、じつは見えない抵抗が入っているんです。

コンデンサを作る時に中に抵抗が出来てしまうんです。(ざっくり話してますよ)

アルミ電解コンデンサではESRが10Ωとかあるものがあります。

10Ωもあると大電流が流せないので、必然的に電圧変動を抑える力が弱くなります。

積層セラミックコンデンサなどでは数mΩといった超低ESRなものがあります。

そうすると大電流が流せるので、電圧変動を抑える力が強くなります。

 

以上、全体をザクッと説明してみました。

小田切でした!

コンデンサの種類と周波数特性

コンデンサはいろいろあるけど、基本的な使い分けには周波数特性が大事。

ということで、周波数特性についてまとめてみました。

今回は中級者以上向け。

 

周波数特性(自己共振周波数)

コンデンサの周波数特性=自己共振周波数とほぼ考えてよし。

要は寄生インダクタが効いてしまってコンデンサとして使えなくなる周波数のことです。

この周波数以下なら使えるので、ここだけみればだいたい大丈夫です。

 

概要

下の村田のページ図4をみれば一発。

https://www.murata.com/ja-jp/products/emiconfun/capacitor/2011/04/14/en-20110414-p1

図4は周波数とインピーダンスのグラフになっています。

理想コンデンサなら、周波数が上がるに連れどんどんインピーダンスは下がっていくはずなのに……

 

アルミ電解コンデンサ:1kHzあたりで下げ止まっています。そのあとはほとんど下がっていません。ESRが大きすぎて、自己共振周波数が見えていませんね。

 

タンタル電解コンデンサ:自己共振周波数は約2MHz。ESRはアルミ電解よりずっと小さい。

 

積層セラミックコンデンサ:自己共振周波数は約2MHz。ESRはタンタルよりさらに小さい。

 

タンタルはいまどき使わないですが、とにかくアルミ電解コンデンサと積層セラミックの圧倒的な実力差が見えます。

 

 

アルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサの自己共振周波数はいろいろな文書でだいたい100kHz程度とされています。。

しかし、実際にはコンデンサの品種によってぜんぜん違うはずなのに、データシートに書いてないことがおおいのが現実です。

例えば、代表的な電解コンデンサであるニッケミSMGのデータシート。

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/004-lead/al-smg-j-170401.pdf

 

このデータシートを目の皿のようにしてくまなく見てもらいたのですが、自己共振周波数の記述がありません。

積層セラミックとかは記述があるのに、電解コンデンサはそういう細かい特性が書いていないことが多いんですよね。

ただ、よくよく見ていくといろいろな定格が120Hzで規定されていることに気がつきます。

120Hzの仕様が掲載されているということは、逆に言うと高周波特性はあまり期待出来なさそうな雰囲気がします。

現役の部品でもこの程度のデータシートしか無いので困ってしまいます。

 

とにかくここから見えてくるのは、具体的な部品の特性は「結局よくわからない!」ということです。

見えてくるのは精々120Hzの特性程度。

アルミ電解コンデンサにたいして無条件に「100kHz程度まで使える」と考えるのは危険なようです。

現実的には周波数特性が全く問題にならない用途「電源大元のバッファ用」程度にしか怖くて使えません。

DCDCの出力は数MHzになるので間違いなく使えませんね。

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

こちらニッケミの導電性高分子アルミ電解コンデンサのデータシート。

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/002-cp/al-psf-j-170401.pdf

 

こちらも自己共振周波数の記述がありません。

ただし、いろいろな仕様が100kHzで規定されているので、少なくとも100kHz程度では使えるということがわかります。

 

 

積層セラミックコンデンサ

自己共振周波数を気にするような回路だと必然的にこれになっちゃいます。

なぜならデータが揃っているから。

ほかのコンデンサメーカーもデータを揃えてもらいたいんですが。

 

積層セラミックコンデンサなら村田ですが、積層セラミックも温度保証用と高誘電率系でかなり特性が違います。

サイズは1005に固定して、それぞれのタイプの容量別の自己共振周波数を見てみましょう。

 

◯温度保証型

1pF 100V (GRM1554C2A1R0BA01):  約7.2GHz

100pF 100V (GRM1552C2A101GA01): 約800MHz

4700pF 10V (GRM1557U1A472JA01): 約120MHz

 

◯高誘電率系

220pF 50V (GRM155B11H221KA01): 約600MHz

0.1uF 50V(GRM155B31H104KE14): 約30MHz

10uF 4V (GRM155R60G106ME44): 約2MHz

 

見ての通り、同じ1005サイズでも容量によってまったく自己共振周波数が違います。

1pFなんて7GHzなんてところまで使えるのに対し、10uFではたった2MHzです。

(それでもアルミ電解よりはずっといいにちがいありませんが)

 

 

まとめ

アルミ電解コンデンサは120Hzしか仕様が規定されていません。

電源のバッファのような周波数特性が問題にならないところにしか使えません。

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサは100kHzで仕様が規定されています。

100kHz程度のDCDCコンバータまでなら使えます。

 

積層セラミックコンデンサは全ての部品に対して自己共振周波数が分かります。

例えば「0.1uF 50V 1005」のコンデンサでは自己共振周波数は30MHzですので、100MHzのICのパスコンには力不足なことがわかります。

フィルタする周波数に合わせて、自己共振周波数を調べる必要があります。

 

以上、小田切でした!

コンデンサの役割とは?(初心者向け)

回路の中のコンデンサの役割というのは、どうも初心者の方にはわかりにくいようです。

たまにすごく変わった使い方もありますが、一般的な役割について説明していきたいと思います。

これだけわかればなんとなく回路図を見てコンデンサの役割がわかってくるんじゃないでしょうか。

 

バイパスコンデンサ(電源平滑)

一番わかりやすいのがこれです。

俗に言う「パスコン」です。

電源とGNDの間に接続して電源を安定化させるのが目的です。

電源のノイズというのは細かな電圧の変動です。

安定化させることでそれが減るので、結果的にノイズも減ります。

 

例えば……

 

・入ってくる電源が5.0Vじゃなくて4.8V~5.2Vの間をゆっくりふらふらしている。

→電源の入力元に安くて容量が大きな「アルミ電解コンデンサ」を入れます。

 

・CPUが100MHzで動いているので、CPUの消費電流が10nsごとに変動する。

→高周波特性が良い「積層セラミックコンデンサ」をCPUの電源ピンの直ぐ側にいれます

 

・DCDCコンバーター(電圧変換)の出力に数百MHz~数MHzのノイズがでる

→高周波特性がそこそこ良くて大容量な「導電性高分子アルミ電解コンデンサ」をいれます。

 

こんな感じで、「電源の入力元」「DCDCコンバーターなど電圧変換機構の入出力」「各ICの電源ピンの近く」にいれます。

 

信号に対する周波数制御

コンデンサは交流を通しやすいという性質があります。

詳しくはローパスフィルタやハイパスフィルタで調べてもらいたいのですが、

コンデンサ・抵抗・インダクタ(コイル)を組み合わせると「高い周波数だけ通す」「低い周波数だけ通す」「ある周波数の範囲だけを通す」といった回路を作ることが出来ます。

音楽信号を例に取れば、「低音強調」みたいなことができるわけです。

無線であれば「通信に使う特定周波数だけを取り出す」といったこともできます。

 

 

時間をカウントする

コンデンサに電流を流し込んでいけば、コンデンサの電圧はだんだんと上がっていきます。

その上がる速度は、コンデンサの容量と流し込む電流できまります。

ということは、それを決めれば「10秒で1.0Vになる」とか「100秒で1.0V」になる組み合わせを狙って作れるわけです。

それを利用して時間をカウントすることがあります。

NE555などのタイマーICと呼ばれるICはこのコンデンサに電気がたまる時間を使って時間をカウントします。

ただし、注意してもらいたいのはコンデンサの容量というのはそんな正確じゃないということです。

±20%程度は当たり前ですし、場合によってはもっとずれます。

なので、正確な時間が必要な場合には使えません。

「回路1がONしてから10ms以上経ってから回路2がONさせる」みたいなアバウトな時に使います。

(このときは20msとか30msに設定しておけば多少容量が変わっても10ms以上は確保できます)

 

 

代表的な使い方はこんなところでしょうか。

 

以上、小田切でした!

コンデンサの種類とそれぞれの特徴(初心者向け)

大抵の電子部品はそうなのですが、コンデンサもいろいろな役割があります。

「電気を貯める」という役割はなんとなく分かっても、それが高周波だけを通すハイパスフィルターとして使われたり、低周波だけ通すローパスフィルターとして使われたりするという話になると「???」となる初心者の方は多いんじゃないでしょうか。

同じコンデンサでも用途が違うのでいろいろな品種があるわけです。

今回はコンデンサの代表的な種類について説明します。

 

 

積層セラミックコンデンサ

CPUなどの低電圧機器で一番活躍しているのがこのコンデンサ。

今の時代では本当に万能といっていいレベルのコンデンサです。

 

・1pF~100uFまでの広いラインナップ(こんなコンデンサ他にない)

・1GHzを超える無線でも使える高周波特性

・低ESRによる優れたノイズ抑制性能

etc。。。

 

簡単に言うと、「欲しいと思った容量があって」「高周波数でも使えて」「理想コンデンサに近い特性でノイズを超吸収してくれる」ということです。

もちろんこのコンデンサにもいろいろな特性があるので、それを理解する必要はあります。

しかし、一番使い勝手が良いコンデンサです。

現在では、積層セラミックコンデンサしか使っていない基板も珍しくないです。

そのぐらいメジャーです。(スマホなんか、積層セラミックコンデンサの塊)

 

 

アルミ電解コンデンサ

昔からあるコンデンサです。

特徴は大容量であること。

1000uF以上のものが普通にあります。

ただし、数百kHz以下でしか効果がなく、ESRも大きいです。

あと、安い。

「容量が大きくて安いけど性能はいまいち」と思って下さい。

使い方としては、電源大元の平滑用やモーターの電源部などに使います。

 

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

長い名前ですが、アルミ電解コンデンサの高性能版です。

「容量が大きくて性能そこそこ値段そこそこ」です。

高周波の性能やESRなどは積層セラミックのほうがいいです。

(もう本当に積層セラミックのパフォーマンスの良さは群を抜いている)

どういうところで使うかというと、DCDCコンバータの平滑用に使うことが多いです。

DCDCコンバータの詳しい説明はここではしませんが、DCDCコンバータというのは数百kHzから数MHzのノイズを出します。

普通のアルミ電解コンデンサではそのノイズを取り切れない、積層セラミックコンデンサなら完璧だけど容量が足りないor価格が高すぎる。

そんなときにこのコンデンサを使います。

 

電気二重層コンデンサ

これはかなり特殊。

特徴はめちゃくちゃ大容量なこと。

10Fとかあります。

アルミ電解コンデンサの普通のものは1000uFとかなので、その1万倍の容量のものがあるということです。

ものすごいのですが、電圧は低いです。

2.5Vとか5Vとか。

そして2パターンのシロモノがあります。

 

「低漏れ電流・高ESR」:結構昔からあって電源落ちたときの時計保持などのバックアップ用として使われています。漏れ電流が小さいので一回充電されれば長時間持つのですが、高ESRということで内部の抵抗成分が大きいので数mA程度しか流せません。感覚としてはコンデンサより電池に近いです。

 

「高漏れ電流・低ESR」:最近普及したものです。超低ESRなので、ものすごい電流が流せます。数十Aとか数百Aとか目の玉が飛び出すような電流が流れます。しかし漏れ電流が大きいので、一回ためたものを長時間保持することは出来ません。「大電流を一瞬でためて一瞬で使い切る」という用途に最適なので、ハイブリッド自動車で一時的に電気を蓄えるのに使われたりしています。(ハイブリッド自動車のメインバッテリーはリチウムイオンですが、その補助として電気二重層がついていたりします)

 

これを知らないとネットの記事を読んでいて、ある記事では「大電流が流せる!」と言っていて他の記事では「小さな電流しか流せない」と言っているので混乱すると思います。

この両パターンが有るので、どちらのことを言っているか気をつけましょう。

 

 

めったに使わないコンデンサシリーズ

今となっては低電圧機器で全然使わないコンデンサたちです。

アマチュアでは結構使いますけれどもね(普通に売ってはいます)

 

フィルムコンデンサ

フィルムをグルグル巻いたコンデンサです。

数pFから1uF程度のラインナップです。

高周波で使えるので昔は多用されましたが、これも積層セラミックコンデンサに取って代わられました。

(本当に積層セラミックコンデンサが他のコンデンサ全てを駆逐しています)

ただ、耐圧が630Vなど高いものがあるので、AC機器や高電圧機器にはいまでも使われているようです。

あと、音質的に歪みが少ないとのことでオーディオ機器で使われています。

 

タンタル電解コンデンサ

超危険!

今時こんなものつかうな!!というコンデンサです。

ちょっとした高電圧で簡単にショートする、燃える、という最悪な部品です!

普通の会社では使用禁止な部品です。

 

なんでこんなものがあるのでしょうか。

昔は「積層セラミックコンデンサ」なんていう高機能なコンデンサはなかったわけです。

導電性高分子アルミ電解コンデンサもなかったわけです。

そうすると、大容量だけど低周波数でしか使えない「アルミ電解コンデンサ」と高周波数で使えるけど容量が小さすぎる「フィルムコンデンサ」しかなかったんです。

そうするとその間を埋めるコンデンサが必要で、それがこのタンタルでした。

そこそこ大容量でそこそこ高周波数でも使えるコンデンサです。

他に代替がないので、危ないのを承知でこれを使っていたわけです。

しかし、積層セラミックコンデンサが普及してしまったので、もう今となっては利点はありません。

積層セラミックコンデンサのほうが高周波の特性が良いですし、なにより危険性が格段に低いです。

今となっては過去の部品です。

 

酸化ニオブコンデンサ

タンタルの後釜です。

でも積層セラミックがありますからね、あんまり使いません。

ですが、高容量のものが積層セラミックより小型になる場合がありますので、あまりに面積に余裕が無い時はピンポイントでこれを使うこともまれにあります。

 

その他超マイナー

「オイルコンデンサ」「紙コンデンサ」……

コンデンサというのは二枚の電極を向かい合わせて間になにか挟む(あるいはなにも挟まなくてもいい)だけでできてしまう部品ですので、ありとあらゆる組み合わせのコンデンサがこの世に存在します。

しかし、こんな変なものは普通は使いません。

どういうところで使われているかというと、高級オーディオやアマチュアオーディオの世界で使われています。

コンデンサのちょっとした特性の違いで音の響きが微妙に変わるため、スピーカーの中のコンデンサやアンプの中のコンデンサをいろいろなものに取り替えて楽しんでいる人達がいるのです。

まぁ、このあたりはこのブログで触れません。

一応業務上で必要な知識についてのブログなので。

 

 

以上、小田切でした!