2017年 11月 の投稿一覧

電子回路用語集(あーん)

アートワーク

回路図を実際に基板の上に配線としてデザインすること。

回路設計とはCADなどが違うため、回路設計者とは違う人がやることが普通。

 

アルミ電解コンデンサ

安くて大容量でもっともポピュラーなコンデンサ。

ただし、自己共振周波数が数百kHz以下でESRも大きいので、昨今の高速デジタル回路のノイズは吸収できない。

電源部に使用したり、積層セラミックコンデンサと組み合わされて使用されることが多い。

 

アレスタ

避雷器のこと。

中身はガラス管やバリスタなどのサージ吸収素子が入っている。

 

アレニウスの法則

電解コンデンサの寿命を計算する際に使う法則。

電解コンデンサは10℃温度が下がると寿命が2倍になるという法則。

85℃ 1000時間の部品は、75℃で2000時間、65℃で4000時間・・・と使用温度が下がるほど寿命が増えていく。

 

アンダーシュート

波形が立ち下がる時に想定以上に電圧が瞬間的に低下すること。

例:3.3V→0Vに変化する時に、瞬間的に-2Vになるなど

配線にインダクタ成分があるため、電圧が0Vに達した後も電流を引き続けてしまい、0V以下の電圧が発生してしまう。

 

インダクタ

コイルのこと。

 

イミュニティ

電気機器が電気的ストレス(電界、磁界、電圧、電流)に耐えうる能力のこと。

これが低いと、外部ノイズで簡単に誤動作したり壊れてしまう。

 

インピーダンス

抵抗値の概念を交流成分にまで広げたもの。

「この機器は50MHzの信号に対してインピーダンス50Ωだ」みたいに表現する。

特定の周波数に対してその部分がどういう抵抗値(+位相ずれ)に見えるかを表現している。

周波数が変わればインピーダンスは変わることがある。

 

インピーダンスコントロール

アートワーク時に配線の太さやGNDとの距離をコントロールして、配線の特性インピーダンスを制御すること。

普通はそんなことをしないので、配線の特性インピーダンスは場合によってばらばらになる。

 

ウィスカ

金属表面に金属の結晶が針状に成長すること。

ICの端子などにこれが生じると端子同士でショートが発生して故障の原因になる。

長期間運用する機器ではこれが問題になることがある。

 

 

 

エラッタ

CPUなどのIC部品の設計にもソフトウェアと同じようにバグが有る。

そういったハード的なバグを「エラッタ」と呼ぶ。

 

オーバーシュート

波形が立ち上がる時に想定以上の電圧が瞬間的に発生すること。

例:0→3.3Vに立ち上がる時に、瞬間的に5V以上発生する等

配線にインダクタ成分があるため、電圧が3.3Vに達した後も電流が流れつづけてそれ以上の電圧が発生してしまう。

 

オペアンプ

二つの入力の差異を(理論的には)無限大に増幅するIC。

ここに抵抗やコンデンサを組み合わせて「負帰還」というものをかけることで、自由な倍率の増幅ができる。

消費電力・周波数特性・精度などによってとんでもないバリエーションが有り、一から選ぶとなるとけっこう大変。

 

温度特性

水晶振動やコンデンサなどは温度により周波数や容量が変化する。

そういった温度による特性変化を「温度特性」という。

殆どの部品は温度で変化するが、抵抗だけはほとんど変化しない。

 

温度サイクル試験

製品を恒温槽に入れて、低温と高温を繰り返す試験のこと。

 

 

活線挿抜

電源を入れたままケーブルの抜き差しをすること。

USBなどがこれにあたる。

電源を入れたまま抜き差ししても問題ないようにするためには、コネクタを差し込む際に最初にGNDが当たるようなコネクタにする必要がある。

(USBやSDカードはそういう設計になっている)

 

カップリングコンデンサ

アナログ信号の交流信号だけを伝えるために挟み込まれるコンデンサのこと。

オーディオや無線回路でよく使用される。

 

寄生容量

導体が二つ近くにあるだけでコンデンサは出来てしまう。

ということは、基板のパターンとパターンの間にもコンデンサは出来てしまうし、部品の中の配線と配線の間にもコンデンサが出来てしまう。

要は回路のいたるところに小さなコンデンサが出来てしまうので、それらを「寄生容量」と呼ぶ。

 

基板間コネクタ

基板と基板を接続するための特殊なコネクタ。

基板1の表と基板2の裏に実装して2枚の基板を平行に接続するものと、

基板1の表と基板2の隅に実装して2枚の基板をL字型に接続するものがある。

 

逆方向電流

ダイオードで電圧を逆にかけた場合に流れてしまう電流のこと。

通常のダイオードであればuAオーダーだが、大電流に対応したショットキーバリアダイオードなどではmAオーダーになることがある。

 

許容損失

その部品が耐えられる発熱量(=消費電力)のこと。

主にレギュレータなどで規定されている事が多い。

これを超えてしまうと加熱で部品が破損する。

 

金メッキ

金属を直接空気に晒すと錆びてしまうため、コネクタなどを金メッキにすることが多い。

また、基板であってもネジとの導通などのために銅箔をむき出しにすることがあり、そこに対してサビ防止で金メッキをすることがある。

 

クラック

ヒビのこと。

電子回路でよく話題になるのが「積層セラミックコンデンサのクラック」

積層セラミックは力がかかると割れてヒビが入り不良になる。

基板のソリなどに気をつける必要がある。

 

グランド(グラウンド)

地面のこと。

地面の電位を0Vとすることが多いので、DC電源のマイナス極のことをグランドと呼ぶことが多い。

グランドといいながら、本当に地面に接している場合は少ない。

筐体のことをフレームグランド(FGND)ともいう。

 

クリーム半田

表面実装品の実装で使用されるハンダ。

ペースト状のハンダで、塗布したあとに熱を加えることで普通のハンダになる。

 

コイル

線を巻き巻きしたもの。

電流を流すと磁界が発生するので、その磁界を使って磁石を動かしたり(モーター)することができる。

しかし、実際の回路では「磁界が発生することで電流が流れるのを邪魔をする」という性質を利用して、

高い周波数を通さないようにしたり(フィルタ)、磁界の形でエネルギーを蓄えたり(DCDCコンバータ)する使い方をする。

コンデンサの逆の性質を持つと思えばだいたい合ってる。

 

恒温槽

高温や低温にすることができる装置。

大きな冷蔵庫みたいなもの。

電子回路が高温・低温で正常に動作することを確認するために使う。

 

コモンモードノイズ

地面と配線の間に流れるノイズのこと。

配線が複数あっても同じ方向にノイズが流れていることから、通常のノーマルモードノイズと区別して「コモンモード」と言う。

 

コンデンサ

二つの電極を向かい合わせて間に誘電体を挟んだもの。

電気を蓄える性質を活かして、主に電源の平滑化に使用する。

また、インダクタと逆に高周波を通しやすい性質ので、それを利用してフィルタを作るのにも使用される。

 

コンパレータ

二つの電圧を比較し、どちらが高いかを判定できるアナログ部品。

 

サージ

瞬間的に発生する高電圧や高電流のこと。

静電気・モータ・コイルなどで発生する。

 

差動アンプ

差動信号を増幅するためのアンプ。

通常のアンプはGNDを基準としているので、同相ノイズを除去できない。

差動アンプであれば同相ノイズを除去できる。

 

差動信号

普通の信号(シングルエンド)は「GNDに対して何ボルトか」で伝送するが、差動信号は2本の配線を使用して「どちらの電圧が高いか」で伝送する。

普通の信号はGNDが安定という前提になっているが、長い配線だとGNDも不安定になるので高速信号が正しく送れない場合がある。

差動信号だと2本の配線の差分で伝送するため、GNDが安定でなくとも正しく伝送できる。

 

治具

wikipediaでは「加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称」となっているが、実際にはもっと広い意味で使われる。

・プログラム書き込み治具

・検査治具

などと、量産行程で使うカスタム機材はほぼ「治具」と呼ばれる。

 

シグナルジェネレータ

指定した周波数の信号を発生するための測定機器。

無線機器などの特性測定に使用する。

 

自己共振周波数

インダクタは純粋なインダクタ(L成分)ではなく、微小なコンデンサ(C成分)や微小な抵抗成分(R成分)がある。

そのため、周波数を上げていくとL成分よりもC成分のほうが大きくなってしまって、ほとんどコンデンサとして役に立たなくなってしまう。

コンデンサも同じで、周波数を上げていくとインダクタになってしまって役に立たない。

その境目の周波数が「自己共振周波数」。

コンデンサでもインダクタでも、自己共振周波数より十分低い周波数で使用しないと役割を果たさない。

だから、各メーカーは「容量や大きさで不利だけど自己共振周波数が高いラインナップ」というのを用意している。

(知らない人が見ると、なんでそういうラインナップがあるかわからないんだよね……)

 

実装

生板(未実装基板)に部品を載せること。

「未実装基板」「実装基板」のように呼ぶ。

 

ジャンクション温度(接合部温度)

ICやトランジスタのシリコン部分の温度のこと。

動作温度範囲がこれで規定されていることがある。

直接測定できないので、ケース温度と熱抵抗から計算して推定することになる。

 

シャントレギュレータ

一定の電圧を作り出すレギュレータ。

普通のレギュレータと違って、電源ではなくなにかの基準電圧を生成する場合が多い。

 

シュミットトリガ

普通のデジタル入力ピンというのは、中間電位を入れてはいけない。

3.3Vのデジタル入力に1.65Vとか入れると内部で大電流が流れて部品が破損したりする。

そのため、ゆっくりと変化する鈍った波形を入れると中間電位が長くなってしまうので、禁止されている。

シュミットトリガは中間電位を入れても破損しないようになっている入力回路。

なまった波形をCPUに入れる際には、途中にシュミットトリガ入力のロジックICを挟むようにする。

 

順方向電圧

ダイオードでアノードからカソードに電流を流した時に、ダイオードで降下してしまう電圧のこと。

この電圧が低いほど理想ダイオードに近い。

 

昇圧回路

入力電圧よりも高い電圧を生成する回路のこと。

 

ショットキーバリアダイオード

電圧降下が小さいダイオード

電源の逆流防止によく使用される。

ただし、高耐圧のものがなく、逆方向のリーク電流が多い。

 

シルク

基板表面に印刷されるもの。

部品のリファレンス番号・1ピン位置・基板の型番などを表示するのに使用される。

 

水晶振動子

安定した精度で発振する部品。

ほとんどの電子部品の精度は%級だが、水晶振動子はppmレベルの精度がある。

そのため、CPUなどの基準クロック生成に使用される。

 

水晶発振子

水晶振動子とそれを駆動するための回路を封入した部品。

電源をいれるだけで規定の周波数を出力する。

 

スイッチング周波数

DCDCコンバータは特定の周波数でFETのON/OFFを繰り返して電圧を変換している。

その周波数のことをスイッチング周波数という。

 

スルーホール

基板を貫く導電性の穴のこと。

基板は複数の層でできているが、その層同士を接続するために使用される。

 

制限抵抗

LEDに流れる電流を「制限」するために使用する抵抗のこと。

そういう部品があるわけでなく、単に役割の名前。

 

静電気

電子機器を壊す主要因にして、対策が一筋縄でいかない厄介なシロモノ。

回路設計者はこれと戦う経験を必ずする。

 

静電気イミュニティ試験

静電気をシミュレートする装置を使って製品に静電気をかける試験。

接触放電・気中放電・間接放電という3種類の放電の試験を行う。

 

積層セラミックコンデンサ

セラミックと電極を何重にも重ねたコンデンサ。

積層していないセラミックコンデンサと比較して桁外れの容量を誇る。

現在のコンデンサの主流はこれ。

 

設計書

実際に回路を引く前に作るドキュメントのこと。

コレがない場合、だいたい行き当たりばったり設計になっている。

「余計な文書を作らない」ことが重視されていたりもするが、実際にはないとかなり危ない。

(文書のつくりすぎが問題なのであって、最低限は絶対に必要)

 

絶対利得

アンテナというのは指向性があって特定の方向に強く電波が出る。

全方向に均等に出る理想アンテナ(現実にはない)と比較して、どれだけ強く電波が出るかを示すのが絶対利得。

これが大きいと指向性が強いことになる。

 

ソフトスタート

電源をゆっくり立ち上げるための機能。

電源ON時に引く電流を制限するなどの理由で使用する。

 

 

ダイオード

電流を片方向にしか流さない半導体。

「シリコンダイオード」「ショットキーバリアダイオード」「ツェナーダイオード」など複数の種類がある。

 

耐タンパー性

内部構造の解析のしにくさのこと。

セキュリティ機器などは解析が困難なように、「不正な信号を検知したらデータを消去する」「筐体を開けられたら動作を停止する」といった対策を取ることがある。

こういったものを耐タンパー性という。

 

タクトスイッチ

感触のあるスイッチの意味で、押した時にカチッという感覚があるスイッチ。

家電の押しボタンスイッチの中身などがコレ。

信号用のため、大電流を流すことは出来ない。

 

端子間容量

部品の端子には寄生容量がついてしまう。

その容量の値のこと。

 

端子台

配線を締め付けられるネジがたくさん並んだ台のこと。

手軽に裸の配線をつなげることができるので、治具など1品物を作る場合によく使用する。

また、産業用機器では外部I/Fが特定のコネクタではなくこの端子台に出力されていることも多い。

 

タンタルコンデンサ

積層セラミックコンデンサが出る前は、高容量で性能が良いためオーディオや無線部に使用された。

しかし、少しのショックでショートしてしまい、危険性があるため、現在では積層セラミックコンデンサに取って代わられている。

 

ダンピング抵抗

信号線に直列に入れる抵抗のこと。

配線のインダクタ成分のせいでオーバーシュートやアンダーシュートが出るわけだが、

配線に抵抗成分があるとオーバーシュート・アンダーシュートは小さくなる。

そのため、波形をきれいにするために10~100Ω程度の抵抗を入れることが多い。

 

チャタリング

スイッチは物理的な金属の板で出来ているため、動くときに振動してしまう。

そのため、OFFからすぐにONになるわけではなく、OFF→ON→OFF→・・・→ONと細かく切り替わってから安定する挙動になる。

この挙動のことをチャタリングという。

対策としてはハード的にするものと、ソフトウェアで複数回読み込んで対応するものがある。

 

ツェナーダイオード

通常のダイオードは逆方向に電流が流れないが、特定の電圧以上で逆方向に電流が流れるように細工されているダイオードのこと。

その特性を使用して特定の電圧を作るために使用したり、ノイズなどの瞬間的な大電圧を逃がすために使用されたりする。

 

 

ディップスイッチ

小さなスライド式スイッチが2~8個集まったスイッチ。

モード切替などめったに切り替えない用途で使用される。

 

データシート

部品の仕様を記載した文書のこと。

回路設計はこれを読んで理解することが仕事の半分を占める。

日本語で書いてあっても読み方がわからないと手がつけられないのが現実。

 

デューティ比

周期的なデジタル波形のONとOFFの比率。

デジタルでもONとOFFの比率を変えて、その信号にローパスフィルターをかけることでアナログの波形を作ることができる。

 

抵抗

電流を通しにくい材質で作った部品。

電流を制限したり、電圧を分圧する際に使用する。

 

デジタルトランジスタ

トランジスタをスイッチ的に使用する際に必要な抵抗を内蔵したトランジスタ。

デジタル回路でCPUでは電流が足りない場合に多用される。

 

デバッグ

不具合がないか動作確認をすること&不具合(バグ)をなくすこと

一般的にはソフトウェア用語だが、ハードウェアでも「デバッグ」という場合がある。

 

電気二重層キャパシタ

10Fなどの桁外れの大容量のコンデンサ。

ただし、電圧が2.7V/5.5V程度であり、高電圧は存在しない。

自己放電が小さいが内部抵抗が大きいバッテリーバックアップ向けのものと、

自己放電が大きいが内部抵抗が小さく大電力の充放電ができるタイプの両方が存在する。

 

基板の配線の正体。

部品から出ているピンなどは鉄がほとんどだが、基板上の配線は鉄ではなく銅でできている。

 

動作温度

その部品が正常に動作できる温度範囲のこと。

まれに周囲の温度で規定されている場合もあるが、たいていはその部品自体の温度で規定されている。

 

同軸ケーブル

特性インピーダンスがコントロールされているケーブル。

無線などの高周波を伝送する際に使用される。

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサの特性を向上させたコンデンサ。

アルミ電解コンデンサより高周波まで使用でき、ESRも小さい。

ただし、価格もアルミ電解コンデンサよりは高価。

アルミ電解コンデンサと積層セラミックコンデンサの中間に位置するコンデンサ。

 

ドライバー

大電力が必要な機器を駆動するための回路。

「モータードライバ」「オーディオドライバ」「LEDドライバ」など。

 

トランジスタ

小さな電流で大きな電流を制御することができる素子。

その特性を使って、CPUの小さな信号で大電流が必要なモータを制御したり、LEDを点灯させたりする際に使用される。

また、アナログ回路では信号の増幅にも使用される。

もっともポピュラーな部品だが使い方が無数にあり、アナログ回路となると電子回路の中で一番理解が難しい部品になる。

 

トランス

コイルを二つ束ねた部品。

電圧変換(AC→DC,AC→AC,DC→DCなど色んな場面で)や、信号伝達に使用される。

普通の部品と違って絶縁したままエネルギーを伝達できるので、絶縁が必要な電源や信号で使用される。

 

トランスミッタ

送信機のこと。

信号を出力する回路など。

 

内蔵抵抗

CPUの入力ピンなど、一部ピンはプルアップ抵抗やプルダウン抵抗が内蔵されていることがある。

また、デジタルトランジスタも内蔵抵抗がある。

 

なまり

基板上の配線には寄生容量やダンピング抵抗などがあるため、ローパスフィルタとして働く。

そのため、高速な信号はそのまま伝わらずに少しなまった形になってしまう。

 

ネットワーク・アナライザ

測定対象に高周波を流し込み、通過する成分と反射する成分を測定する測定器。

例えばアンテナであれば、反射がないほうが理想なので、ネットワークアナライザで反射がゼロになるように調整を行うことになる。

 

ネットリスト

回路図の部品と部品の接続を記録しているデータ形式。

実際にはいろんな形式がある。

回路図CADからネットリストを出力して、アートワーク業者に渡すことでアートワークをすることができる。

 

ハイインピーダンス

「抵抗値が高い」こと。

「このピンは入力でハイインピーダンスなので、プルアップ抵抗をつけないといけない」のように使う。

 

バグ

不具合のこと。

ソフトウェア要因の場合もハードウェア要因の場合もある。

 

波長短縮率

電波の速度は3×10^8mとされているが、基板中を伝わったりケーブルの中を伝わる際には速度が落ちる。

速度が落ちるということは、その電波の1波長の長さも縮む。

その基板やケーブルでどの程度波長が縮むかを「波長短縮率」という。

 

バックアップ電池

メイン電源が断たれた状態でもRTC(時計)などの最小限の機能を駆動するためについている電池のこと。

これが切れると電源が断たれた際に時計がリセットされてしまう。

 

パッケージ

電子部品の外形のこと。

同じ機能のICでもピンの数や外形が異なる複数のバリエーションが有る。

高密度実装なら小さいパッケージが歓迎されるが、高精度が厳しい工場では大きいパッケージが歓迎されるため、複数のパッケージがある。

 

発振

水晶振動子が駆動することなどを「発振」という。(これは正常動作)

また、電源やアナログ回路が意図せずに周期的に変動することも「発振」という。(異常動作)

 

パスコン

電源のノイズを取るために使うデカップリングコンデンサのことを通称「パスコン」と呼ぶ。

 

バリスタ

静電気保護に使う部品。

普段は絶縁状態だが、ある一定以上の電圧になると抵抗値が突然小さくなる。

この特性を利用して、静電気などの高電圧をGNDに逃すのに使用する。

 

パワーオンリセット

電源が入った際にCPUのリセットを行う機能。

この機能がないCPUを使用する際には、外部に電源投入時にリセットピンを制御する回路をつける必要がある。

 

ヒートシンク

部品の熱を放熱するための金属部品

 

ピッチ

端子が並ぶときの間隔のこと。

「ピッチが細かい」「このコネクタのピッチは0.5mmだ」など。

 

ヒステリシス

シュミットトリガー入力など、「H→Lに変化する電圧」と「L→Hに変化する電圧」が異なるように設計され、

立ち上がり時間・立ち下がり時間が緩やかでもチャタリングしない特性を指す。

 

評価ボード

CPUや電源などのICを動作する形で搭載した基板のこと。

この基板を買うことで新たに基板を作成すること無く、性能の評価や基本的な開発ができる。

 

ヒューズ

一定以上の電流が流れた際に切れることで電流を遮断する部品。

 

フェライトコア

フェライトで出来た磁性体。

ケーブルに巻きつけるなどしてコモンモード対策として使用する。

本来はこういった組み立ての手間がかかるものを使用したくないが、基板内部の対策だけではノイズを抑えきれなかった場合によく使用される。

数十MHz~数百MHzあたりで効果がある。

 

フォトカプラー

LEDと光センサー(フォトトランジスタ)を一つのパッケージに入れたもの。

電気的に絶縁した状態で信号を伝達したいときに使用する。

 

浮動小数点数

「1.3×10^4」のような形式で「1.3」と「10^4」を別に保持する数値の持ち方。

固定小数点数という方式では「0.0から1.0を1/65536刻みで数値化する」といったことをするので、扱える数値の範囲が狭い。

 

プルアップ抵抗

信号線を弱い抵抗(抵抗値が大きい)で電源に接続すること。

信号線に繋がるデバイスがなにも出力していない際に、信号線がHレベルになることを保証する。

 

プルダウン抵抗

プルアップの逆。

信号線を弱い抵抗でGNDに接続すること。

プルアップと同様に、デバイスが何も出力してない(ハイインピーダンス)のときに信号線がLレベルになることを保証するために使う。

 

フルカラーLED

赤・緑・青の三色を一体型にしたLEDのこと。

この3色を混色することでフルカラーを実現できる。

 

分圧

例えば、3Vのプラスとマイナスの間に直列に二つつないだ1kΩx2をつなぐ。

そうすると、抵抗の間に1.5Vという電圧が生じる。

このように、複数の抵抗で高い電圧から低い電圧をつくることを分圧という。

 

ベタ

基板の上の広い面積の銅箔のこと。

基板上の銅箔は細長い「配線」と面積がある「ベタ」でできている。

とくにGNDのベタは正しく配置しないとノイズの原因となる。

 

保護素子

バリスタ・ヒューズ・その他ESD対策部品など、過電圧・過電流から回路を守るための部品の総称。

 

保存温度

非通電状態で耐えられる温度範囲のこと。

例えば、保存温度-20~85℃の部品を使った製品を-30℃環境で保管してはいけない。

ほとんどの半導体は-40~125℃など広い範囲で耐えられるが、案外コネクタなどのプラスチック製品の保存温度がMAX.85℃だったりする。

 

マッチング

高周波を扱う回路で、電力が最も効率よく伝送されるように回路の中の定数を調整する作業のこと。

 

マルチプレクサ

多数の出力を切り替えて一つの出力につなげる機構。

この機能専用のロジックICもある。

CPUの中は一つのピンに複数の機能が割り当てられているが、中にマルチプレクサが入っていてピンに接続する機能を切り替える機構になっている。

 

メタルマスク

プリント基板(生板)にハンダを塗布する際に使用する金属の板。

ハンダを盛るところにだけ穴が空いており、プリント基板の上にメタルマスクを載せてハンダを上から塗りつけることでハンダを盛ることができる。

 

モータードライバ

モーターを駆動するための回路。

トランジスタなどで組む場合もあるが、普通は専用のICを使用する。

ICの場合、トランジスタで組まれた物とMOSFETで組まれたものがある。

オン抵抗などの問題でMOSFETの方が効率がいいが、高電圧品はだいたいトランジスタしかない。

 

漏れ電流

例えばICの入力ピンは非常に抵抗値が高く理想的には電流が流れない。

しかし、実際にはほんの少しだけ電流が流れてしまい。

そういった「理想的には流れないけれども実際には流れてしまう嫌な電流」を「漏れ電流」と呼ぶ。

「漏れ」という言葉には「漏れてほしくないんだけど漏れちゃうんだ」という思いが入っている。

 

ユニバーサル基板

2.54mmなどの一定の間隔で穴が空いた基板のこと。

DIP部品を差し込んで配線することで簡単な回路なら作ることができる。

逆に言うと、表面実装品などを直接ユニバーサル基板に載せることはできず、SMD→DIP変換基板のようなものを使用する必要がある。

 

ランドパターン

部品を乗せるために銅箔が露出した部分のこと。

 

リーク電流

ICの入力ピンなどはインピーダンスが高く、理想的には電流が全く流れない。

しかし実際には微量に電流が流れてしまうため、「漏れ」という意味で「リーク電流」という言葉で表現する。

 

リフロー

表面実装部品をはんだ付けする行程のこと。

常温で基板のパッドにクリームはんだを印刷し、その上に部品を載せて高温の炉にいれてクリームをハンダを溶かしてはんだ付けをする。

 

リセット

初期化のこと。

CPUであれば内部のレジスタをすべて初期値に書き換わることをいう。

 

リセットIC

電源電圧がある基準以下になった時に出力をLowにするIC。

CPUのリセットピンにつなげることで、CPUをリセットすることができる。

電池駆動など電源電圧が安定しないときにCPUが暴走するのを防ぐ目的で使用される。

 

リチウムイオン電池

重量あたりのエネルギー密度が高い充電電池。

今やありとあらゆるところで使用されているが、基本的に危険物。

過充電も過放電も駄目なため、専用の制御ICと組み合わせて使用することが一般的。

また、航空での輸送も制限される。

 

リチウム電池

単にリチウム電池と言ったときは基本的に一次電池を指す。

コイン電池や円筒形など複数の形状がある。

アルカリなどよりエネルギー密度が高く小型のラインナップがあるため、バックアップ用などによく使用される。

 

リップル

意図しない電圧や電流の周期的な変動のこと。

DCDCコンバータの出力などで観測される。

 

リニアレギュレータ(シリーズレギュレータ)

高電圧から低電圧を生成するための部品。(例:9V/100mA→5V/100mA)

昔からある部品で電圧差を熱として消費するため仕組みのため、例として15Vから5Vをつくると3分の2が熱として消費されてしまう。

エネルギー効率は悪いが、低ノイズ・低コストという利点がある。

そのため主に電流が少ない部位やノイズを嫌う部位で使用される。

 

レジスタ

CPU内部のデータ置き場のこと。

実際の計算ではRAM上のデータを直截扱っているわけではなく、RAMからレジスタにコピーをして、レジスタ同士で加減剰余計算をして、最終的にRAMに書き出している。

 

レジスト

基板の表面に塗布される絶縁材のこと。

これに孔を開けることで必要な部分だけ銅が露出した基板が作成できる。

色がいろいろあり、レジストの色で基盤の色が決まる。

一般的には緑が一番多くて安い。

 

レベル変換

3.3Vの信号レベルを5Vの信号レベルに変えるといったこと。

部品ごとに動作電圧が異なるため、信号のレベル変換が必要になる。

トランジスタなどを使って自分で組む方法もあるが、大抵はレベル変換用のICを使用する。

 

割り込み

CPUの機能。

タイマー、周辺機器からの通知、GPIOの変化などを要因として特定の処理を実行する機能。

メインの処理は一時的に止まるが、処理が完了次第メインの処理に戻る。

これがないとメインルーチンでタイマーやGPIOを監視し続ける必要があって大変。

プログラムが書きやすくなり、無駄な監視が不要になるので実行効率も上がる。

ただ、変なタイミングで割り込みを呼ばれると処理がおかしくなることもあり、デバッグは注意が必要。

電子回路用語集(A-Z)

数字

3端子レギュレータ

リニアレギュレータ(シリーズレギュレータ)の3端子な部品、とくにトランジスタ状のパッケージの部品を「3端子レギュレータ」と呼ぶ。

「3端子レギュレータ」というとほかのレギュレータと違ってなにか特別なことがあるのかと思うが、実際にはただのリニアレギュレータそのもの。

高い電圧から所定の電圧を作るのに使われる。

 

3-state

「High出力」「Low出力」「ハイインピーダンス」の3種類の状態があるピンのこと。

High/Lowを出せてもハイインピーダンスになれないピンもあるので、それと区別するために表記する。

 

5Vトレラント

普通のICやCPUは電源電圧以上の電圧を信号ラインにいれると壊れる。

だが、5Vトレラントと謳っている場合は、電源電圧によらず5Vの信号を入れても問題ない。

電圧が違う信号を入れたいことはよくあるため、5Vトレラントがあると結構便利。

 

 

8bitマイコン

計算を8bit単位で行う計算能力の低いマイコン。

そのかわり、高電圧動作(5V)ができたり、消費電力が小さかったり、安かったりするという利点がある。

最近は8bitマイコン並みに低消費電力で安い16bitマイコンが出たりしているので、棲み分けが変化してきている。

 

A

ADC(AD変換)

Analog Degital Converter

アナログをデジタルに変換するということで、アナログ入力機能。

CPUのGPIOはHighかLowの2パターンしか識別できないが、例えばMax.3.3Vの10bitのADCであれば、

0-3.3Vを1024段で区切るので、約3.3mVの解像度で入力電圧を知ることができる。

 

AES

暗号のひとつ。

セキュリティ系のマイコンではこの暗号化のためのアクセラレーションが載っていることが多い。

 

AND回路

二つの入力の両方がHのときのみ、Hを出力する論理回路のこと。

 

ARIB

社団法人電波産業会

日本国内のいろんな電波規格を標準化している所。

なにかの電波の測定方法を知りたいときは、だいたいここの文書を見て標準的な測定方法を調べてそれに従う。

 

ARM

CPUの設計を売っている企業。

最近ではCortexシリーズなど、組み込みCPUでもARMのコアを使用したCPUが増えている。

 

ASIC

特定用途向け集積回路のこと。

ロジックIC・メモリ・CPUなどを除いたほとんどのICがこれに分類され、ありとあらゆるものがASICといえる。

 

AVR

Atmel社が出している8bitマイコン

8bitながらフリーのCコンパイラが使えるためアマチュアでも人気。

Arduinoでも使用されている。

 

B

 

BALL(ボール)

BGAパッケージの裏面から出ている端子のこと。

通常のICは横から足が突き出ている形状だが、BGAパッケージは裏面に碁盤目状に端子がついている。

各端子にはハンダが盛られて玉のようになっているのでボールと呼ぶ。

 

BAT

Battery。電池のこと。

こういう風に適当な省略語がよく出てくるので注意。

 

BGAパッケージ

普通のICはピンが上下左右から出ているが、それではピン数に限界がある。

ICの裏面に格子状に端子が配列することで数百ピンといったピン数を実現しているのがBGAパッケージ。

ただし、実装の難易度が高いため、実装コストが高い。

さらに、目視でハンダ状況が判断できないため、実装不良の発見が難しいという問題がある。

 

Bluetooth

2.4GHz帯を使う無線通信方式。

日本では特定小電力無線局に該当して、製品を出荷するには工事設計認証などを取る必要がある。

認証済みモジュールをそのまま利用する場合は特に必要ない。

 

 

C

Cache

キャッシュ

データを一時的に蓄えるための高速メモリ。

CPUに内蔵されており、毎回低速なRAMにアクセスしなくて済むので処理速度が向上する。

 

CAN

Controller Area Network

車載向けの通信プロトコルだが、産業用途であちこちで使われている。

2線で通信し、特に速くはないが、仮に一本切れて1線でも通信可能、といった車載っぽい高信頼性がある。

 

 

CE

EUの規格。

EUに出荷する場合はこの規格を通す必要がある。

 

CE(ChipEnable)

多くのICについているピンで、動作の有効・無効を切り替える。

ロジックICであれば出力がハイインピーダンスになり後ろの回路に影響を与えなくなる。

SPI通信などがあるICであれば通信が無効になったり、内部の回路が動作停止したりする。

 

C言語

組み込みソフトウェア開発でよく使用されるプログラミング言語。

メモリの管理を自前でやるため、少ないメモリを効率的に活用できる。

その分、煩雑な部分も多く、メモリ関係のバグは出やすい。

 

CMOS

nMOS FETとpMOS FETを組み合わせたデジタル回路。

従来のトランジスタを使ったデジタル回路より消費電力が非常に小さい。

今のIC・LSIはほぼ全てCMOSである。

 

CORE

CPUの計算する部分を指す。

「コアの性能」「このCPUは2コアだ」みたいに使う。

 

CPLD

プログラムすることで所望の機能を実現できるLSI.

FPGAと近いが、実現している仕組みが異なる。

FPGAより小規模なことが多い。

 

CPU

中央演算処理装置のことで、本来は計算をする機構のこと。

通信機能などの周辺機器とCPUを一体にしたものを「MPU」と呼ぶ。

実際にはMPUもCPUもごっちゃにして使われていて、明確に区別されていない。

 

 

D

 

DAC

Degital Analog Converter

デジタルをアナログに変えるということで、アナログ出力のこと。

例えばCPUから2.3Vみたいな中途半端な電圧を出したり、デジタル信号から実際のオーディオ信号を出呂kする部分で使用される。

 

DMA

Direct Memory Access

指定したデータ範囲を勝手にメモリ間でコピーしてくれる機能のこと。

CPUのメインルーチンの中でメモリをコピーするのと違って、コピーしている間もCPUは他の動作ができる。

 

DCDCコンバータ

DC(直流)→DC(直流)に変換するから「DCDCコンバータ」

3Vを5Vにするような昇圧タイプも有れば、12Vを3.3Vにするような降圧タイプも有る。

 

DDR

クロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送するメモリの規格。

大容量のRAMは大抵これ。

DDR1,DDR2,DDR3,DDR4とあるが、組み込みで使うのはDDR1-2あたりが多い。

 

DSP

信号処理(積和計算)に特化したプロセッサーのこと。

画像処理や音声処理などで使用される。

 

DXF

AutoCADというソフトのデータ形式だが、実際には2DCADの業界標準フォーマットとなっている。

基板の形状や部品の形状はたいていこのデータ形式でやりとりされる。

 

D級アンプ

アナログ信号をデジタル(PWM)で増幅するアンプ。

A級やB級とちがって損失が非常に小さいので、低発熱かつ省電力。

スマホなどの最近のデジタル機器のオーディオアンプはほとんどこれ。

 

E

ECC

エラー訂正符号。

データに冗長性(追加データ)をもたせて、一部のビットが反転してしまってもそれを検出して訂正できる数学的技術。

NANDメモリなどエラーがあるメモリにデータを保存するさいに使用される。

 

EEPROM

不揮発性のメモリ。

USBメモリなどに使われるフラッシュメモリより書き換え可能な回数が多く(約百万回)、小さなバイト単位で読み書きが可能。

設定データの保存に使用される。

基本的に小容量のため、大容量データの保存にはコスト的にも適さない。

 

eMMC

MMC(ほぼSDカード)を実装型にしたもの。

SDカードと同じようにSD I/Fでマイコンと通信をするが、ソケットに取り付けるのではなく、基盤に直接はんだ付けする。

ただのNAND FLASHだとエラー訂正やウェアレベリングをマイコン側でやる必要があって大変なので、そういったことが不要なeMMCが好まれる。

 

EMI

電磁気妨害

機器が発生するノイズが他の機器に影響すること。

EMI対策は発生するノイズを抑えることに相当する。

 

ESD

Electrostatic Discharge

静電気放電のこと。

これからICを保護するために様々な保護部品が存在している。

 

ESR

等価直列抵抗

各部品に含まれる抵抗成分の示す言葉。

「コンデンサのESR」「インダクタのESR」などという。

 

 

F

FCC

アメリカで運用されている規格。

アメリカに出荷しようとするとこれに通す必要があり、最低でも数十万と数カ月の対応が必要。

個人的にはやりたくない。(英語で説明書とか作らないといけないし)

 

FET

電界効果トランジスタ

トランジスタと同じように増幅作用がある。

ただしトランジスタはベースに電流を流して使用するが、FETはゲートに電圧をかけて使用するという違いがある。

電流がほとんど流れないため、余計な電流が不要で、駆動力が弱い信号で制御できる(ハイインピーダンス入力)。

ただし、静電気には非常に弱い。

 

FETプローブ

オシロスコープの通常のプローブは10pF以上の寄生容量がついている。

そのため、高速信号や微弱な信号を捉えようとすると、この容量が邪魔して波形が変わってしまう。

この寄生容量を1pF以下に押さえて信号を正確に捉えられるのが、FETプローブ。

しかし、非常にデリケートなため、過電圧で簡単に壊れる。また、非常に高価。

 

FG

フレームグラウンド。筐体を接地すること。

回路設計では、基板上のGNDと筐体のGNDは分けて考える。

筐体のGNDと基板のGNDは接続する場合もあれば接続しない場合もある。

2つのGNDを接続する場合も、一点で接続するようにしてあまり密接には繋げない。

そして、静電気など好ましくないノイズをフレームグランドに逃がす設計にする。

 

Flash

不揮発性メモリ。

数キロバイト~数百キロバイトのブロック単位の読み書きになるので、数バイト単位の頻繁な読み書きは遅いが、大容量で容量に対して安価。

大きなデータの格納やOSイメージの格納に使用される。

SDカードやUSBメモリの中身。

 

FPGA

プログラム可能なゲートアレイ。

要は好きなロジック回路をソフトウェアで作ることができる。

大規模なものであれば中にCPUを作ることもできる。

「専用の集積回路で高速な計算をする必要がある」という場合、数が少なければ集積回路の開発なんて予算的に出来ない。

そういう場合に、大規模なFPGAを買ってきてプログラムして実現する。

FPGAの単価は普通の集積回路より高いので、数十万台も作るとなればLSIを作ったほうが良い。

 

FPU

浮動小数点数の計算をするハードウェア。

これを内蔵しているCPUは浮動小数点を高速に計算できるが、内蔵していないとソフトウェアエミュレーションになるので物凄く遅くなる。

 

FRAM

強誘電体を使用した次世代メモリ。

不揮発性で書き換え可能な回数がフラッシュメモリやEEPROMと比べて桁違いに多い。

書き換え可能回数の参考値:フラッシュメモリ 1000~10万回/EEPROM 100万回/FRAM 10兆回~

ただし高価なので、使われている製品は少ない。

 

FR-4

基板の材質の名称。

ガラスエポキシ基板。

難燃性で低誘電率。

よほど安い製品か高発熱な製品以外では、だいたいこれが使われる。

 

FSK

Frequency Shift Keying

周波数変調

周波数を変えることで信号を表現する変調方式。

幅広く使用されている。

 

 

G

GND

Ground.地面

回路の中の基準となる電圧のこと。

要は0V。

地面のことを指す単語だが、実際には地面に接続されていないことも多い。

(つまり地面と電位差があることも多い)

 

GPIB

PCと測定器(マルチメータなど)を接続するときの規格。

現在ではGPIBをエミュレーションしたUSB接続などに移行している。

 

GPIO

CPU(MPU)の汎用I/Oポートのこと。

ソフトウェアから直接High/Lowを操作して外部の機器を制御したり、外部のデジタル信号を取り込む。

 

H

HBM

human body modelの略。

部品などの静電気耐性の表記で使用される。

人体のモデル、つまり人が静電気を帯びたときを模して静電気試験をしたことを示す。

「HBM 2kV」と書いてあれば、2kVの静電気を帯びた人体を模した静電気試験を行って正常動作したことを示す。

 

HDL

ハードウェア記述言語。

ASIC/CPLD/FPGAの設計に利用する言語のこと。

 

HDMI

一本のケーブルで映像と音声をデジタル伝送する規格。

通信速度が非常に早いので、基板設計はかなりきっちりやる必要がある。

 

hFE

トランジスタの増幅率のこと。

この数字が大きいほど少ないベース電流に対しておおきなコレクタ電流が流れる。

一般的にばらつきが大きいので、増幅率の変化で特性が変化する回路はあまりよくないとされる。

 

HPF

ハイパスフィルターの略。

高周波数だけを通すアナログ回路のこと。

 

I

I2C

CLOCKとDATAの2線だけで、双方向通信が出来てマルチスレーブができる便利な通信プロトコル。

ただし、低速であり最高400kbps。

速度が必要とされない、RTCやEEPROMなどで使用される。

 

I2S

IC間で音声データをやり取りするためのデータバスの規格。

 

If

ダイオードのフォワー電流を示す。

 

IGBT

MOSFETとトランジスタを組み合わせた素子。

制御はMOSFETと同じで電圧で制御可能。

そして、実際の電流を流す部分はトランジスタになっているので、大電流を流したときの損失が少ない。

(MOSFETは大電流を流すと電流の二乗分が損失になる)

 

I/O

Input/Outputのこと。

「なんとかIO」と書いてあったら、そのなんとか機能の入力・出力のことを指している。

 

IVH

Interstitial Via Hole

非貫通のVIAのこと。

6層や8層基板の内層の接続に使用される。

 

J

JIS

日本工業規格

日本の工業製品に関する規格や測定法などを定めた日本の規格。

ありとあらゆる規格が入っていて、特に試験基準などで参照することが多い。

 

JTAG

本来はピン数が多いICの導通確認用の規格だったが、CPUなどに必ず搭載されている規格のため各メーカー独自に拡張して別物となっている。

現在では導通確認よりもプログラム書き込み用のI/Fとして使用されていることが多く、大抵のCPUはJTAGでプログラムを書き込んだりデバッグをすることができる。

 

L

 

LCD

液晶ディスプレイのこと。

 

LED

発光ダイオードのこと。

電流を流すと発光するダイオードで、状態の表示や照明など光に関するあらゆる場所で使われている。

なので、今時の電子機器で電球とかまず使わない。

 

LDO

「Low Dropout」の略。

これだけではなんだか分からないが、要は「ドロップアウトが小さいリニアレギュレータ」のこと。

普通のレギュレータは2V以上の電圧差が必要なので、5Vから3.3Vをつくるといったことができない。

LDOは品種によるが、0.5~0.2V程度の電圧差で動作可能。(3.3Vから2.8Vを作ったりすることが可能)

 

LNA

Low noise amprifier

低ノイズの増幅器のこと。

 

LPF

ローパスフィルタの略。

低い周波数の信号だけを通すアナログ回路。

 

N

 

NANDフラッシュメモリ

安価で大容量な不揮発性メモリ。

ただし、書き込み・消去はブロック単位になるため、数バイト単位の頻繁な書き換えには向かない。

また、エラービットが一定の確率で存在することから、誤り訂正符号などと組み合わせて使用する必要がある。

 

 

M

MEMSセンサー

微細加工技術で作られたセンサーのこと。

加速度センサーなどが代表的。

部品を使う方からすると結局SPIやI2Cで接続するだけなので、特に特別な点はない。

 

MIPS

CPUが一秒間に実行できる命令数。

1MIPSで100万回/秒。

CPUごとに特性が違うので一概には比較できないが、この数字が大きいほうがだいたい計算能力が高い。

 

MII

Media Independent Interface

EthernetのMACとPHYを接続するインターフェースのこと。

 

MOSFET

FETの一種。

大電力をオンオフするのに向いているため、普通のデジタル回路でも多用される。

回路設計者が「FET」というとき、MOSFETのことを言っている場合が多い。

 

MOQ

最小購入数のこと。

部品によるが、2000,3000など。

電子部品を正規代理店から買う場合、こういった数量で買うことになる。

 

MPU(マイクロプロセッサー)

CPUと様々な周辺機能(通信・タイマーなど)を一つにパッケージした部品。

 

MTBF

平均故障間隔。

連続可動できる平均時間のこと。

これが長いほど信頼性が高い製品と言える。

 

O

OrCAD

回路図のCADソフト。

ちなみに自分が使っているソフト。

 

OTP

One Time Programmable

一度だけ書込み可能なメモリ。

セキュリティ系のマイコンではOTPなメモリを内蔵していることが多い。

 

 

P

PC

パソコンのことではなく、Program Counterのこと。

現在のプログラム実行番地を示しているレジスタ。

例えば、これを0にするとプログラムが最初に移動する。

レジスタの中である意味一番重要なもの。

 

PFM

「Pulse Frequency Modulation」の略。

周波数が変化する変調方式。

DCDCコンバータの軽負荷時に使用される。

軽負荷の時に低い周波数になるため、電力効率が良くない。

 

PHY

Ethernetの物理層を実現するLSIのことを指す。

「Ethernet内蔵」といっているCPUでも大体MIIという通信インターフェースを持っているだけで、直接LANコネクタに接続できるわけではない。

Ethernet内蔵CPU→MII I/F→PHYのLSI→パルストランス→LANコネクタ

という形でPHYを挟んで初めてLANコネクタに繋がる信号になる。

 

PIC

Microchip社が出しているワンチップマイコン。

ラインナップがたくさんあり、小規模な制御に利用されている。

DIP品があるのでアマチュアでも人気がある。

 

PLL

位相同期回路

といっても意味がわからないが、要はもとのクロックからn倍のクロックを生成するための機構。

 

PWM

「Pulse Width Modulation」の略

一定周期のパルスの幅を変える変調方式。

詳しくは他所のサイトをご覧になって下さい(手抜き)

https://toshiba.semicon-storage.com/jp/design-support/e-learning/brushless_motor/chap3/1274512.html

 

主な使い方

・CPUのPWM発生機能

→ONとOFFを50%の比率にすると普通の矩形波。その信号をつかってブザーを鳴らす。

→DACがないCPUでアナログ電圧を出力した場合、PWMで出力したものをローパスフィルタで平滑化してアナログ電圧を生成する。

・DCDCコンバータ

→大抵のDCDCはPWM/PFMで動作する。高負荷時はPWMモードで動作して、低負荷時はPFMモードで動作する

 

Q

QFP

ICのパッケージの一つで、4方向にピンが出ている形状のこと。

CPUなどの規模が大きい部品になると、たいていQFPかBGAが多い。

 

QUAD SPI

データ線を4本にすることで転送速度を4倍にしたSPIインターフェース。

メモリとCPUを接続する際などに使用される。

 

R

RAM

Random Access Memory

揮発性のメモリー。

必要なRAM容量が数十kB程度なら、RAM内蔵のMPU一つあれば済むが、

RAM容量が数メガバイト以上となるとラインナップがないため、外付けメモリを使用する。

メモリの配線は非常に多く、しかも高速なため、アートワークの難易度と手間がかなりかかる。

そのため、RAM外付けの基板をつくるとなるとかなり大変。

 

RF

無線のこと。

「RF部」と言ったら、電波を処理する回路を指す。

 

RoHS指令

EUが定めた電子機器の有害物質制限のこと。

現在の大抵の電子部品はRoHSを満たしている(はず)

 

ROHM

日本の半導体メーカー。

電源IC・ダイオード・トランジスタ・LEDなど一通り揃っていて使いやすい。

(普通のメーカーは特定分野に特化していることが多い)

信頼性・サポート対応を重視して日本製の部品を使うという条件になると、ROHMの部品ばかりになる。

 

ROM

Read Only Memory

不揮発性のメモリー。

本来は一度書いたら消せないメモリーのことを指しているが、最近では読み書き可能なFlashメモリーもROMと呼ぶことがある。

要は、実際に読み込み専門(Read Only)でなくても、電源OFFの状態でプログラムを保持するためのメモリは慣例的に「ROM」と呼ばれる。

 

RSSI

Received Signal Strength Indication(受信強度)

無線通信機器が受信する信号の強度を測定する回路のこと。

 

RTC

Real Time Clock

いわゆる時計機能のこと。

数uAの低消費電力で一秒ごとにカウントアップしていく周辺機器。

単体のICの場合もあれば、CPUに内蔵されていることもある。

 

S

SMD

表面実装部品のこと。

 

SoC

System on Chipの略。

通常複数のLSIが必要な製品を、一つのLSIにまとめたもの。

スマホやルーターなどで使用されているメインCPUは大体SoC。

 

SPI

Serial Peripheral Interface

クロック、マスター→スレーブ通信線、スレーブ→マスター通信線で通信する規格。

基板内のIC間の通信で多用される。

 

SPICE

電子回路のアナログ挙動をシミュレーションするソフトウェア。

もともとバークレーで開発されたものだが、カスタマイズされて各社で違う名前のソフトとして提供されている。

(LTSpiceなど)

 

SRAM

リフレッシュ操作が不要なRAMメモリ。

CPUに内蔵されているような小容量のRAMはこれ。

外付けのDDR RAMなどはDRAMのため、これとは異なる。

 

T

TE Connectivity

元タイコエレクトロニクス。

コネクタなどを取り扱っているメーカーだが、ポリスイッチなどの保護素子も取り扱っている。

 

TELEC

電波関係の測定や認証を行う機関。

試験機関は他にもあるが、かつて「日本唯一の指定証明機関」だったこともあり、実質的に今もTELECが総本山になっている。

 

Timer

CPUに内蔵されている周辺機器。

「タイマー」というとカウントアップやカウントダウンするものだと想像してしまうが、実際には色々な機能が含まれたもの。

定期的に割り込みを発生させたり、PWMの生成にも使用される。

機能多すぎて一言で説明できなくて、データシートを読むと頭が痛くなる機能。

 

U

UART

Universal Asynchronous Receiver/Transmitter

直訳すると「汎用非同期なReceiver/Transmitter」。

つまり、クロックがない送受信データバス。

TXD/RXDの2本で双方向通信ができるので、線が少なくて済む。

ただし、クロックがないので通信するお互いで速度を決めておかないと通信が成り立たないという点は不便。

基板内の通信や1-2m程度の短い配線での通信に使用される。

(それ以上だとRS-232C/RS-485/RS-422などに変換して通信する場合がほとんど)

 

USB

Universal Serial Bus

組み込み機器でもよく使うが、USB3.0を使うことはまれ。

今でもUSB2.0が現役。

 

V

Vbe

トランジスタのベース・エミッタ間電圧。

約0.6V。

トランジスタをスイッチとして使う場合でもこの電圧だけは考えないといけないので、頭においておく必要がある。

 

VCCI

情報処理装置等電波障害自主規制協議会のこと。

妨害電波の放出基準を決めている日本の機関で、情報機器を日本国内で販売するときはメーカはこの規格を自主的に守る。

(この規格は自主規格なので、場合によっては無視する場合もまれにある)

設計が悪いとノイズが凄く出るので、この規格を通すことが出来ない。

 

VIA

「ビア」

基板設計で、複数の層を貫通して電気的に接続するメッキ穴のこと。

 

Vf

ダイオードの順方向電圧(Forword Voltage)を一般的にVfと示す。

 

 

 

X

XTAL

クリスタル。水晶。

水晶振動子や水晶発振器のことを指す。

 

Z

Zobelフィルタ

アンプの出力につけるCR回路。

アンプの発振防止のために付加される。

コンデンサの役割とは?(初心者向け)

回路の中のコンデンサの役割というのは、どうも初心者の方にはわかりにくいようです。

たまにすごく変わった使い方もありますが、一般的な役割について説明していきたいと思います。

これだけわかればなんとなく回路図を見てコンデンサの役割がわかってくるんじゃないでしょうか。

 

バイパスコンデンサ(電源平滑)

一番わかりやすいのがこれです。

俗に言う「パスコン」です。

電源とGNDの間に接続して電源を安定化させるのが目的です。

電源のノイズというのは細かな電圧の変動です。

安定化させることでそれが減るので、結果的にノイズも減ります。

 

例えば……

 

・入ってくる電源が5.0Vじゃなくて4.8V~5.2Vの間をゆっくりふらふらしている。

→電源の入力元に安くて容量が大きな「アルミ電解コンデンサ」を入れます。

 

・CPUが100MHzで動いているので、CPUの消費電流が10nsごとに変動する。

→高周波特性が良い「積層セラミックコンデンサ」をCPUの電源ピンの直ぐ側にいれます

 

・DCDCコンバーター(電圧変換)の出力に数百MHz~数MHzのノイズがでる

→高周波特性がそこそこ良くて大容量な「導電性高分子アルミ電解コンデンサ」をいれます。

 

こんな感じで、「電源の入力元」「DCDCコンバーターなど電圧変換機構の入出力」「各ICの電源ピンの近く」にいれます。

 

信号に対する周波数制御

コンデンサは交流を通しやすいという性質があります。

詳しくはローパスフィルタやハイパスフィルタで調べてもらいたいのですが、

コンデンサ・抵抗・インダクタ(コイル)を組み合わせると「高い周波数だけ通す」「低い周波数だけ通す」「ある周波数の範囲だけを通す」といった回路を作ることが出来ます。

音楽信号を例に取れば、「低音強調」みたいなことができるわけです。

無線であれば「通信に使う特定周波数だけを取り出す」といったこともできます。

 

 

時間をカウントする

コンデンサに電流を流し込んでいけば、コンデンサの電圧はだんだんと上がっていきます。

その上がる速度は、コンデンサの容量と流し込む電流できまります。

ということは、それを決めれば「10秒で1.0Vになる」とか「100秒で1.0V」になる組み合わせを狙って作れるわけです。

それを利用して時間をカウントすることがあります。

NE555などのタイマーICと呼ばれるICはこのコンデンサに電気がたまる時間を使って時間をカウントします。

ただし、注意してもらいたいのはコンデンサの容量というのはそんな正確じゃないということです。

±20%程度は当たり前ですし、場合によってはもっとずれます。

なので、正確な時間が必要な場合には使えません。

「回路1がONしてから10ms以上経ってから回路2がONさせる」みたいなアバウトな時に使います。

(このときは20msとか30msに設定しておけば多少容量が変わっても10ms以上は確保できます)

 

 

代表的な使い方はこんなところでしょうか。

 

以上、小田切でした!

コンデンサの種類とそれぞれの特徴(初心者向け)

大抵の電子部品はそうなのですが、コンデンサもいろいろな役割があります。

「電気を貯める」という役割はなんとなく分かっても、それが高周波だけを通すハイパスフィルターとして使われたり、低周波だけ通すローパスフィルターとして使われたりするという話になると「???」となる初心者の方は多いんじゃないでしょうか。

同じコンデンサでも用途が違うのでいろいろな品種があるわけです。

今回はコンデンサの代表的な種類について説明します。

 

 

積層セラミックコンデンサ

CPUなどの低電圧機器で一番活躍しているのがこのコンデンサ。

今の時代では本当に万能といっていいレベルのコンデンサです。

 

・1pF~100uFまでの広いラインナップ(こんなコンデンサ他にない)

・1GHzを超える無線でも使える高周波特性

・低ESRによる優れたノイズ抑制性能

etc。。。

 

簡単に言うと、「欲しいと思った容量があって」「高周波数でも使えて」「理想コンデンサに近い特性でノイズを超吸収してくれる」ということです。

もちろんこのコンデンサにもいろいろな特性があるので、それを理解する必要はあります。

しかし、一番使い勝手が良いコンデンサです。

現在では、積層セラミックコンデンサしか使っていない基板も珍しくないです。

そのぐらいメジャーです。(スマホなんか、積層セラミックコンデンサの塊)

 

 

アルミ電解コンデンサ

昔からあるコンデンサです。

特徴は大容量であること。

1000uF以上のものが普通にあります。

ただし、数百kHz以下でしか効果がなく、ESRも大きいです。

あと、安い。

「容量が大きくて安いけど性能はいまいち」と思って下さい。

使い方としては、電源大元の平滑用やモーターの電源部などに使います。

 

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

長い名前ですが、アルミ電解コンデンサの高性能版です。

「容量が大きくて性能そこそこ値段そこそこ」です。

高周波の性能やESRなどは積層セラミックのほうがいいです。

(もう本当に積層セラミックのパフォーマンスの良さは群を抜いている)

どういうところで使うかというと、DCDCコンバータの平滑用に使うことが多いです。

DCDCコンバータの詳しい説明はここではしませんが、DCDCコンバータというのは数百kHzから数MHzのノイズを出します。

普通のアルミ電解コンデンサではそのノイズを取り切れない、積層セラミックコンデンサなら完璧だけど容量が足りないor価格が高すぎる。

そんなときにこのコンデンサを使います。

 

電気二重層コンデンサ

これはかなり特殊。

特徴はめちゃくちゃ大容量なこと。

10Fとかあります。

アルミ電解コンデンサの普通のものは1000uFとかなので、その1万倍の容量のものがあるということです。

ものすごいのですが、電圧は低いです。

2.5Vとか5Vとか。

そして2パターンのシロモノがあります。

 

「低漏れ電流・高ESR」:結構昔からあって電源落ちたときの時計保持などのバックアップ用として使われています。漏れ電流が小さいので一回充電されれば長時間持つのですが、高ESRということで内部の抵抗成分が大きいので数mA程度しか流せません。感覚としてはコンデンサより電池に近いです。

 

「高漏れ電流・低ESR」:最近普及したものです。超低ESRなので、ものすごい電流が流せます。数十Aとか数百Aとか目の玉が飛び出すような電流が流れます。しかし漏れ電流が大きいので、一回ためたものを長時間保持することは出来ません。「大電流を一瞬でためて一瞬で使い切る」という用途に最適なので、ハイブリッド自動車で一時的に電気を蓄えるのに使われたりしています。(ハイブリッド自動車のメインバッテリーはリチウムイオンですが、その補助として電気二重層がついていたりします)

 

これを知らないとネットの記事を読んでいて、ある記事では「大電流が流せる!」と言っていて他の記事では「小さな電流しか流せない」と言っているので混乱すると思います。

この両パターンが有るので、どちらのことを言っているか気をつけましょう。

 

 

めったに使わないコンデンサシリーズ

今となっては低電圧機器で全然使わないコンデンサたちです。

アマチュアでは結構使いますけれどもね(普通に売ってはいます)

 

フィルムコンデンサ

フィルムをグルグル巻いたコンデンサです。

数pFから1uF程度のラインナップです。

高周波で使えるので昔は多用されましたが、これも積層セラミックコンデンサに取って代わられました。

(本当に積層セラミックコンデンサが他のコンデンサ全てを駆逐しています)

ただ、耐圧が630Vなど高いものがあるので、AC機器や高電圧機器にはいまでも使われているようです。

あと、音質的に歪みが少ないとのことでオーディオ機器で使われています。

 

タンタル電解コンデンサ

超危険!

今時こんなものつかうな!!というコンデンサです。

ちょっとした高電圧で簡単にショートする、燃える、という最悪な部品です!

普通の会社では使用禁止な部品です。

 

なんでこんなものがあるのでしょうか。

昔は「積層セラミックコンデンサ」なんていう高機能なコンデンサはなかったわけです。

導電性高分子アルミ電解コンデンサもなかったわけです。

そうすると、大容量だけど低周波数でしか使えない「アルミ電解コンデンサ」と高周波数で使えるけど容量が小さすぎる「フィルムコンデンサ」しかなかったんです。

そうするとその間を埋めるコンデンサが必要で、それがこのタンタルでした。

そこそこ大容量でそこそこ高周波数でも使えるコンデンサです。

他に代替がないので、危ないのを承知でこれを使っていたわけです。

しかし、積層セラミックコンデンサが普及してしまったので、もう今となっては利点はありません。

積層セラミックコンデンサのほうが高周波の特性が良いですし、なにより危険性が格段に低いです。

今となっては過去の部品です。

 

酸化ニオブコンデンサ

タンタルの後釜です。

でも積層セラミックがありますからね、あんまり使いません。

ですが、高容量のものが積層セラミックより小型になる場合がありますので、あまりに面積に余裕が無い時はピンポイントでこれを使うこともまれにあります。

 

その他超マイナー

「オイルコンデンサ」「紙コンデンサ」……

コンデンサというのは二枚の電極を向かい合わせて間になにか挟む(あるいはなにも挟まなくてもいい)だけでできてしまう部品ですので、ありとあらゆる組み合わせのコンデンサがこの世に存在します。

しかし、こんな変なものは普通は使いません。

どういうところで使われているかというと、高級オーディオやアマチュアオーディオの世界で使われています。

コンデンサのちょっとした特性の違いで音の響きが微妙に変わるため、スピーカーの中のコンデンサやアンプの中のコンデンサをいろいろなものに取り替えて楽しんでいる人達がいるのです。

まぁ、このあたりはこのブログで触れません。

一応業務上で必要な知識についてのブログなので。

 

 

以上、小田切でした!

発光ダイオード(LED)回路の制限抵抗の計算方法(初心者向け)

発光ダイオードの制限抵抗の計算は基本中の基本!

これがわかると「オームの法則ってどういうときに使うの?」も分かってくるので、結構大事です。

 

発光ダイオードの基本回路

こんなかんじです。

電源とLEDを直結するのではなく、直列に抵抗を入れます。

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なんで制限抵抗が必要か?

とても簡単な話で、LEDというのは抵抗と違って電圧をかけていくと電流がガバッと流れる性質だからです。

たとえば順方向電圧が2.00Vぴったり(20mA時)のLEDがあったとします。

ここに1.50Vかけると、ほとんど流れません。

1.90Vでも流れません。

2.00Vかけると突然20mAながれます。

次2.1Vかけると、40mAとか60mAとか流れちゃいます。

3Vなんかかけたら数百mAとか流れちゃいます。

つまり、順方向電圧よりちょっとでも大きい電圧をかけると大電流が流れてしまうので、それを防ぐために抵抗を入れるわけです。

 

 

制限抵抗の計算方法

具体例があったほうがいいので、秋月電子で売っているLEDで考えてみましょう。

秋月電子ばかりなのは単純に選びやすいからです(笑)

メーカーから選んでもいいんですが、めんどいので。

赤色LEDとして「OSDR5113A」という部品を選んでみます。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-11655/

 

1,電流を決定する

まず流したい電流から決めます。

今回はこのLEDに20mA流したいとします。

 

2,LEDの順方向電圧を調べる

するとデータシートの「DC Forward Voltage」の項目が

Min.1.8V

Typ.2.0V

Max.2.5V

となっています。

ここでは標準値を選択します。

順方向電圧は2.0Vということになります。

 

3,抵抗に掛かる電圧を計算する

今回は電源が5VでLEDの順方向電圧が2.0Vです。

ですから、計算はとっても単純。

抵抗電圧=電源電圧-LEDの順方向電圧=5-2.0=3.0[V]

です。

 

4,抵抗にオームの法則を適用する

オームの法則「V = IR」

単純な式ですが、本当の初心者だとこの式をどういうときに使うのかイメージつかないんじゃないでしょうか?

こういうときに使うんです。

「抵抗にかかる電圧が3.0Vだ」

「その時に抵抗に20mAながしたい」

「こういうときこそオームの法則だ!」

 

ですから今回は、

V=IRを入れ替えて、

R=V/I=3.0[V]/20[mA]=150[Ω]

となるわけです。

 

これで制限抵抗が計算できました。

 

制限抵抗の効果

例えばLEDの順方向電圧がMinの1.8Vになったとしましょう。

そうすると、抵抗に流れる電流は

I=V/R=(5-1.8)[V]/150[Ω]=3.2[V]/150[Ω]=21.33[mA]

になります。

制限抵抗があるとLEDの順方向電圧が変わっても、電流値は少ししか変化しなくなるわけです。

これが制限抵抗の効果です。

もし、「LEDの順方向電圧が2.0Vだから2.0Vの電源を作って直結しよう」なんて考えていたら、LEDの順方向電圧が少し変動しただけで大電流が流れてLEDが壊れてしまいます。

 

以上、小田切でした。

基板のアートワークとは?(初心者向け)

「アートワーク」という言葉があるのですが、回路のことを知っている人でも案外知られていないようです。

 

アートワークの意味

一般的には絵画や写真のことを指します。

回路設計の業界では基板のパターンのことを指します。

「アートワーク設計」といったら基板の上にどう部品を置いてどう配線するかを決めることにあたります。

 

 

アートワークは誰がやる?

基本的にはアートワークCADを扱う専門の人が行います。

注意してほしいのは、大抵、回路を引く人とは別の人であるということです。

アマチュアでは回路も引いてアートワークも自分でやるという人が居ますが、実際の業務では「回路図を引く人」と「アートワーク(基板の設計)をする人」は別の人になります。

回路もアートワークも一人でやっていたら開発時間が伸びてしまいます。

回設計者は回路図をアートワークの専門家に依頼して、アートワーク中に別の作業を行います。

こうしないと開発期間が2倍必要になってしまいます。

 

アートワークの費用は?

結構業者さんによって違うのですが、私の経験では基板一枚で10~30万円くらいが多いです。

基本的に時間計算なので、費用は設計期間に比例します。

 

 

アートワークの期間は?

コネクタと部品が数個しか載っていない超絶簡単な基板で2-3日、小さなマイコンが乗っている基板で2週間、Linuxが載るような大規模CPUが載っている基板で一月ぐらいです。

ものすごく簡単な基板でも、回路設計者とアートワーク業者間のやりとり(確認と指示)が発生するため1日でできることはありません。

最低2-3日はかかります。

 

アートワークの依頼方法は?

「回路図」「部品表」「外形図」「基板仕様」「ネットリスト」の5つが必要です。

・回路図:PDFにして渡します

・部品表:EXCELなどコピペ可能なファイルで渡します。これを元に部品を置くためのパッドを設計します。

・外形図:基板のサイズやコネクタの位置が分かる図面です。簡単ならPDFなどでいいですが、複雑な形だとDXFデータなどの提出を求められることがあります。

・基板仕様:基板の厚み、色、層構成、注意点などを列挙した資料です。これがないと思っているのと違うものが出来ます。

・ネットリスト:回路設計CADで出力してできるファイルです。どの部品とどの部品が接続されているかを示した情報になります。アートワーク業者は実際にはこのファイルを元にして設計を行います。ちなみに、ネットリストとひとくちで言ってもいろいろな形式があるため、業者さんに「この形式で出力して下さい」と形式を指定されることもあります。

 

 

アートワークは業者に任せれば万全?

NO!これだけは絶対にNO!

上記の仕様を提出して基板を設計してもらうわけですが、万全なものができてくるなんて思ってはいけません。

コネクタの位置など指定があいまいであれば当然やり取りが必要です。

また、もし全ての指示が完璧でその通りに部品を配置してくれたとしても、それでもまだ不十分です。

大抵のアートワーク業者は……怒られそうな話ですが、

「アートワークCADの専門家であって、アートワークの専門家ではありません」

 

残念ながらこれがリアル。

アートワークCADの専門家ということは、こちらの指示通りに作ってくれるということです。

しかし、アートワークの専門家ではないということは、「電気的なことを考慮した配線の引き方」が全然出来てない!ということです。

 

今後書いていきたいと思いますが、正しいアートワークとは、

・電源線が太く短いこと

・高周波電流の閉ループが小さいこと

・表層GNDと内層GNDの結合が強いこと

・高周波ラインの周囲のGNDが内層GNDと密接続されていること

・高速信号同士が結合しないこと

・高速信号がアナログ回路と結合しないこと

・高周波吸収用パスコンがICの直近に来ること

・静電気の侵入口と部品類の間に保護素子が配置されること

・アンテナになってしまう配線がないこと

etc….

とにかく文章で書くとキリがないほどいろいろな条件を満たさないといけません。

 

こういった条件を満たさないと、

・ノイズに弱い:外来ノイズですぐ誤動作する

・ノイズを出す:ノイズを撒き散らすので各種規格に引っかかって出荷できない

・すぐ壊れる:静電気ですぐ破損する

・不安定:電源のフィードバックやアナログ部分の設計が悪いと挙動がおかしくなる

といった問題が発生します。

 

つまり、アートワーク設計というのは回路設計と同じぐらい超重要な要素なわけです。

 

しかしここはアートワーク業者に期待しても、ほとんど無理です。

なので、回路設計者かアートワークチェックの専門家がちゃんとチェックしてあげないといけません。

 

そういえば、私もアートワークチェックの仕事を引き受けていました。

もしチェックできる人が居なければ一言声をかけて下さい(売り込み)

 

以上、小田切でした!

発光ダイオード(LED)とは? 記号と特徴(初心者向け)

発光ダイオードについて説明します。

長いので普通は「発光ダイオード」の英語名の省略である「LED」で呼びます。

 

発光ダイオード(LED)の特徴

「ダイオード」と付くからには電流を一方向にしか流さない特性を持っています。

しかし、ただのダイオードと違って「発光」するわけです。

電流を流すと光ることから、昔は電球を使っていた部分にこの発光ダイオードを使います。

元々は状態表示に使うだけでしたが、大電力対応の発光ダイオードも登場して、今では「LED照明」なんていうのもありますよね。

 

ちなみに、「光るだけで普通のダイオードと同じか?」と聞かれると、全然違います。

基本的にダイオードとしてLEDを使うことは出来ません。

 

・LEDは逆方向電圧が5V程度と低い

普通のダイオードは数十ボルトから数千ボルトの逆方向電圧に耐えるので、逆流防止に使うことが出来ます。

しかしLEDは逆方向電圧が低いので、LEDを逆流防止に使うことは非現実的です。

 

・LEDは流せる電流が小さい

照明用LEDは別として、普通のLEDなどは20mA程度しか流せません。

普通のダイオードは数A流せるものが普通にあるので、全く比較になりません。

 

・LEDは電圧降下が大きい

普通のダイオードであれば0.6V以上、ショットキーバリア―ダイオードでは0.2V以上の電圧降下が発生します。

それに対して、LEDは赤色で2V以上、緑・青・白では3V以上の電圧降下が発生します。

LEDを逆流防止に使ったら、5Vいれても3Vになってしまうので非効率過ぎて使えません。

 

こんなかんじで、LEDはあくまで光らせるためのものであってダイオードの互換品ではないということです。

(無理やり使えば使えないことはないけれども、普通はそんな無意味なことはしない)

 

発光ダイオード(LED)の記号

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こんな記号です。

ダイオードに発光を示す記号がついただけです。

普通のダイオードと同じように「アノード」「カソード」の呼び名も同じです。

 

発光ダイオード(LED)の電流の向き

覚えてもらいたいのは、発光ダイオードもダイオードの一種だということ。

ですから、普通のダイオードと電流が流れる向きは同じです。

アノードからカソードです。

アノードにプラス極、カソードにマイナス極を接続すれば光るわけです。

(電池直結すると過電流でLEDが痛むので、直結は駄目ですよ)

逆に接続すると電流が流れず光りません。

 

以上、小田切でした!

トランジスタ(PNP/NPN)の記号と基本回路(初心者向け)

物凄く単純にLEDを光らせる回路で説明していきます。

 

記号(NPN)

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2SC1815などのNPN型トランジスタの記号はこれです。

この図の中のベースは覚えやすいですが、エミッタとコレクタは混乱しやすいと思います。

「矢印が出ている先がエミッタ」とおぼえておきましょう。

ちなみに、この矢印はトランジスタに電流が流れる向きと一致しています。

 

 

記号(PNP)

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2SA1015などのPNP型トランジスタの記号はこれです。

NPN型と基本は同じですが、矢印が逆になっています。

 

そして、先程矢印とトランジスタに流れる電流の向きが同じだと言いました。

つまり、PNPではNPNと逆向きに電流が流れます。

ですので教科書的には上で正しいのですが、回路図で上の形でお目にかかることはありません。

なぜなら、普通回路図は電流は上から下に流れるように書くからです。

なので、実際の回路図では

 

image

 

こういう風に上下が逆になっていることが普通です。

 

 

LEDを点灯させる回路図(NPN)

 

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NPNトランジスタをスイッチとして使う場合の基本形です。

上のGPIOとかかれたピンに電流を流し込むことでLEDが光ります。

「NPNトランジスタはベースに電圧をかけて電流を流し込むことでLEDが光る」とおぼえて下さい。

 

LEDを点灯させる回路図(PNP)

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PNPトランジスタをスイッチとして使うときの基本形です。

先程書いたように上から下に電流が流れるように回路図を書くので、教科書的な記号とは逆になっていますね。(矢印が下向き)

さきほどNPNトランジスタではGPIOと書かれた信号線(トランジスタのベース)に電流を「流し込む」ことでスイッチがONしました。

しかしPNPトランジスタは考え方が逆です。

NPNはPNPの特性をひっくり返したものだと思えばいいです。

「PNPトランジスタはベースから電流を引き抜くことでLEDが光る」とおぼえて下さい。

この回路ではGPIOにVCCを掛けてもトランジスタはONしません。

GPIOを0V(正確にはVcc-0.6V以下)にすることでトランジスタがONします。

 

NPNとPNPの使い分け

上の説明でなんとなくピンときませんでしたか?

NPNトランジスタを使うとベースに電圧をかけることでONできます。

PNPトランジスタを使うとベースを0VにすることでONできます。

(中級者の方は、「え、正確には0.6V+必要な電流が流せる電圧だよね?」とか突っ込みたいと思いますが、話を簡単にするためにスルーしてください)

 

たとえばなにかセンサーがあるとしましょう。

 

「このセンサーはなんかを検出した時にHigh(3.3V)を出力する。検出した時にLEDを光らせたい」

そんなときはNPNトランジスタを使ったLED点灯回路を使えばOKです。

 

「このセンサーはなんかを検出した時にLow(0V)を出力する。検出した時にLEDを光らせたい」

そんなときはPNPトランジスタを使ったLED点灯回路を使えばOKです、

 

こんな風に使い分けできるわけです。

もちろん、やり方としてはロジックICなどを使って論理を反転させることで、後者のパターンでもNPNトランジスタでLED点灯させることも可能です。

でも、そんなことするより、PNPトランジスタを使ったほうがシンプルですよね?

そういうことです。

 

以上、小田切でした。

「トランジスタとは何か」を簡単に説明!(初心者向け)

原理とか物理ではなく、使うための実践的な知識をざざっと乱暴に説明します。

(トランジスタはNPNとPNPの二種類があるのですが、両方説明すると100%混乱するのでNPNで説明します)

 

トランジスタを作った回路の実例

まずはいきなり回路を。

 

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よくある回路です。

Q1というのが件のトランジスタです。

R1は抵抗です。

D1はLEDです。

GPIOと書いた線はCPUにつながっていると思って下さい。

 

どういうときにトランジスタを使うのか?

ずばり一言でいいましょう。

沢山電流を流したい時」です。

乱暴ですが、だいたいのケースに当てはまります。

例えば、上のLEDを十分な明るさで光らせるには20mA必要だとしましょう。

しかし、使っているCPUは3mAしか流せない。

3mAじゃLEDが暗すぎて光っているのがわからない

困った!

 

そんなときに使用するのがトランジスタです。

小さな電流しか流せない部品で大きな電流を制御したい」ときに使うのがトランジスタです。

 

・小さな電流しか流せないCPUで大きな電流が必要なLEDを光らせる。

・小さな電流しか流せないCPUで大きな電流が必要なモーターを回す。

・小さな電流しか流せない増幅回路で大きな電流が必要なスピーカーを鳴らす。

 

こんなことがしたい時にトランジスタを使用するイメージです。

 

一言で

「1mAの電流で100mAの電流を制御する電流制御弁」

こうとらえてください。

一つの端子(ベース)に1mAの電流を流すと、もう一つの端子(コレクタ)にその100~200倍の電流を流す弁です。

10mAながせば1A流れる。

100mAながせば10A流れる。

そんなイメージです。

 

電流増幅以外の用途

基本的には「小さな電流で大きな電流を制御するもの」ですが、一応それ以外にも用いられます。

初心者の方は意味がわからないと思いますが、「あぁそんな使い方もあるのね」ぐらいに思って下さい。

 

・低電圧回路(CPUなど)から大きな電圧(24Vなど)を制御する用途

・論理を反転させる用途

 

 

以上、小田切でした!

トランジスタとMOSFETの違いは?(初心者向け)

初心者のあなた、トランジスタという言葉は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

それからFETとかMOSFETとかいう言葉も聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

で、いろいろ調べていくと、同じようなところでトランジスタとFETが使われていたりしませんか?

 

LED点灯回路(トランジスタ・MOSFET)

たとえばこんな感じです。

image

 

両方共LEDを点灯する回路です。

この回路のGPIOと書かれている所がCPUに接続され、CPUの信号によってLEDがついたり消えたりする回路になります。

本屋ネットを読むとこんな記述が見つかると思います。

「トランジスタは増幅作用があり、スイッチとして扱われることもある」

「MOSFETはスイッチ素子として使うことができる」

 

どっちを使うのが正解でしょうか?

 

 

そもそもMOSFETとは?

「MOSFETはFETの一種です。そしてMOSFETはエンハンスメント型で……」

なんて話をしても初心者にはなんのこっちゃです。

そもそも、業務でもそんなこと考えません。

簡単に言うと「大電流を流すことができるスイッチ用の部品」と考えてもらってOKです。

実務上、そのイメージでほとんど外れがありません。

 

LEDを点灯させるにはMOSFETとトランジスタ、どちらがいいの?

じつはどちらでもOKです。

どちらがいいとか無いです。

好みで使ってもいいし、価格で選んでもいいです。

「そんな馬鹿な!」

いえいえ、全然OKです。

 

というのも、トランジスタもMOSFETもスイッチとして使用するときには、

・耐圧に問題がないこと

・必要な電流を流せること

・スイッチし切ること

ができればなんでもいいからです。

 

「耐圧に問題がないこと」は当たり前ですよね。

最大10Vって書いてある部品に100Vかけたら壊れますので。

 

「必要な電流を流せること」

例えばLEDに必要な電流が20mAだとします。

このときMOSFETやトランジスタが20mA以上流せる部品であればOKなわけです。

逆に言うと、5mAしか流せない部品だったら、トランジスタ・MOSFET関係なくその部品はダメだということです。

 

「スイッチし切ること」

ここがとても大事です。

MOSFETであれば「20mAを流すにはゲート(上の図のGPIOに接続されたピン)に◯V以上かけること」と規定されています。

トランジスタであれば「20mAを流すにはベース(上の図のGPIOに接続されたピン)に◯mA以上ながすこと」と規定されています。(というか計算ができます)

これを満たす必要があります。

 

トランジスタとMOSFETの使い分けは?

「LEDを光らせるのにはトランジスタでもMOSFETでもいいんだ。じゃあ使い分けは全然しなくて良いんだ」

YESです。

ちょっとしたLED程度ならどっちでも大丈夫です。

 

ですが、大電流に対処しようとすると話が変わってきます。

例えば上の図のLEDが表示用LEDではなく照明用LEDだとして、極端に「10A」だとしましょう。

トランジスタは増幅率が約100~200倍程度が多いです。

上の図のGPIOに1mA流し込むと、LEDには100mA~200mA流せるということです。

CPUの出力電流は大きくないので、例えば5mAだとすれば、LEDには500~1000mA流せることになります。

おっと、10A流せませんね。

その十分の一で頭打ちになってしまいます。

ではどうするかというと、トランジスタを2段にします。(回路は割愛しますが)

簡単に言うと、一段目で5mAを500mAぐらいに増幅して、さらにその500mAで二段目のトランジスタをくどうすることで10A流せるようにできるのです。

 

ではMOSFETだと?

MOSFETは電流を増幅するのではありません。

電圧をかけると抵抗値が変化する部品です。

「トランジスタは1mA流し込むと、100mA流そうとする」部品ですが、

「MOSFETは4Vかけると抵抗値が0.1Ωになる」部品です。

(上記の値は一例ですよ。部品によって違います)

なのでこの回路で5Vを入れると、0.1Ω以下になってLEDにじゃんじゃん電流が流れるわけです。

 

大電流を流す時に部品が少ないのは?

上のことから考えると、大電流を流そうとするとトランジスタでは2段、ひょっとしたら三段必要です。

しかし、MOSFETなら一つで済みます。

こんな風に、ある程度の電流が必要な時にMOSFETを使うと部品1つで済むことが多いです。

 

効率がいいのは?

一概にいえないんですが……

詳しくはトランジスタのVCE(SAT)とMOSFETの抵抗値×電流を比較する必要があります。

ここは部品選定によって大きく変わるので一概に言えません。

しかし、初心者の方にそこまでいってもわかりにくいので、ものすごく乱暴に言います。

「極端な大電流を扱わない限り、MOSFETの方が効率がいいことが多い」です。

 

トランジスタは入力した電流の100倍とか200倍を流す部品です。

つまり、上の回路図であれば、LEDに流す電流以外にトランジスタを動作させる電流が(わずかとはいえ)必要になります。

しかしMOSFETは電圧駆動です。電流はほとんど流れません。(数uA程度)

つまり、LEDを光らせる以外に余計な電流を使わないのがMOSFETです。

この点からしても、MOSFETの方が効率がよくなりやすいです。

 

静電気(高電圧ノイズ)に強いのは?

スイッチとして優秀なのはMOSFETですが、静電気などになると特性が逆転します。

トランジスタは比較的静電気に強い部品ですが、MOSFETというのは静電気にすごく弱いです。

(ちなみにCPUなどのICは中身はMOSFETでできています。だから静電気に弱い)

そのため、高電圧のスパイクノイズが発生するモーターを制御する回路はあえてトランジスタを使う例も多いです。

(最近はMOSFET駆動も多いですが)

 

まとめ

初心者がLEDやちょっとしたもの(数百mA程度)の物を動かすのなら、MOSFETでもトランジスタでもOKです。

しかし、それ以上になると、トランジスタであれMOSFETであれ、特性を見極めて選ぶことが必要になります。

特性を満たしているトランジスタがあればそれでよし、特性を満たしているMOSFETがあればそれでよしです。

選定についてはもうすこし上級者向けの記事でいつか書こうと思います。

 

以上、小田切でした!