2017年 11月 の投稿一覧

積層セラミックコンデンサのクラックについて

ちょっとマニアックな話ですが、実際の現場では問題になる話について書きたいと思います。

それは「積層セラミックコンデンサのクラック!」。

VCUTなどの基板を割る時に、基板というのはたわみます。

特に、基板の端には大きな力がかかります。

 

積層セラミックコンデンサというのは、セラミック=焼き物で出来ています。

つまり、ものすごく割れやすい部品なんです。

衝撃や歪みで割れてしまいます。

だから、基板を割る時にクラックが入ってしまいます。

しかも、「ちょっとだけショート」「ちょっとだけ容量抜け」みたいな状態になってしまうので、

壊れたかどうかわからない場合も多いです。

 

ということで・・・変なふうに壊れないようにこういう対処が必要になります。

 

1,基板の端に積層セラミックコンデンサを置かない

これが一番です。

 

2,どうしても基板の端に積セラを置くときは、長辺が基板の端と並行になるようにする。

NGパターン

image

これは積セラの長辺方向が歪むのでクラック入りやすいです。

 

OKパターン

image

これだと積セラの短辺方向が歪むので、クラックは入りにくいです。

 

3,積セラの横はルーターカットを入れる

要はVCUTだと歪みが発生するわけです。

だから、積セラのすぐ横はルーターカットを入れればVCUTでなくなるので歪みは減ります。

image

↑左の長丸部分にVCUT

 

 

以上、小田切でした!

アートワークするときの基板の選び方(材質・層構成)

この記事も実務者向けですが、それほど経験がない人向けに書いていますので、

かなり乱暴なのでご注意を。

ただ、実際こうしておけばほとんど問題がありません。

(逆に相応の知識がないとこれ以外のことをすると危険)

 

材質の選び方

FR-4です。

呪文のように覚えて下さい。

FR-4です!!

ガラスエポキシ基板で、難燃性・低誘電率でスタンダードな材質です。

「紙フェノールのほうが安い」とかそういう情報もありますが、高品質なFR-4がスタンダードになったため、昔ほどの価格差はありません。

変な材質を選ぶと変な制約が出て苦労することになること請け合い。

特殊な製品でない限り、スタンダードなFR-4にしておけば一番問題少ないです。

 

層構成の決め方

層構成というのは層の厚みや重ね方の指定です。

「厚さ◯◯umのコアに◯umの銅箔を重ねて、さらにプリプレグを◯umにして……」

というような情報です。

ですが、回路設計者がこれを一つ一つ指定することはありません。

なぜなら、工場で扱っている基板の仕様があって、

「こんな仕様のもの作って下さい!」

と言っても

「うちじゃそんなもの作ってない! 他所に行ってくれ!」

で終了なんですよ。

基本的に基板を作る工場というのは「工場標準の層構成」というものを持っていて、それしか作れません。

なので、量産するのであれば量産する工場の仕様どおりの基板を作るしかありません。

(試作で量産工場に頼めない場合は、量産工場と同じ層構成・材質でつくれる試作工場を探して、そこで作ってもらう。とにかく量産工場に合わせる!)

 

となると、設計者は何も考えなくていいかというとそんなことはなく、

「基板の厚さ」

「層数」

を決める必要があります。

 

基板の厚さ

これがいろいろありまして、私の経験だけでも

・1.6mm

・1.0mm

・0.8mm

の3種類があります。

他にも1.2mmだとか0.4mmだとかあるようです。

「どうしてもこの厚みが必要だ」という場合は指定してもいいですが、

標準は1.6mmです。

1.6mmが一番流通していて、どこの工場でも作れて、価格も一番安くて、頑丈。

よほどの理由がない限り1.6mmにするのが無難です。

1.6mmだとかなり硬いので取扱的にも楽です。

逆に0.8mmなどになると本当にペラペラなのでラフに扱うと簡単に折れますし、すぐしなります。

ということで、理由がない限り「1.6mm」です。

 

層数

さて、こいつが厄介です。

経験があれば「これは4層でいいかな」とか想像できますが、経験がないと層数の判断ができません。

 

・2層(ちょっと安い)※バカ安ではない

・4層(普通の値段)

・6層以上(高い)

 

面積にもよりますが、配線の引き回しにもよるので一概に言えません。

なんとなく感覚を書いておきます。

 

・2層基板

ピン数が20pin以下の超小型CPUなら配線数も少ないので裏表だけの2層基板で配線できるかもしれません。

ただし面積が小さいと困難です。

2層基板の問題は、信号の配線を引けたとしても、(信号線が基板を横切るので)電源やGNDをつなげられないことです。

実際に経験してみるとわかりますが、2層基板は驚くほど早く限界が来ます。

「え、これっぽっちの配線を引いただけで繋げなくなるの?」と驚くことうけあいです。

また、4層基板より安いとは言え、昔ほどの価格差ではないので、大きな基板を大量に生産しない限り価格メリット低いです。

個人的にはよほど低密度の基板でない限りはおすすめしないです。

 

・4層基板

20ピン以上から100ピン程度のCPUを使うなら、4層基板が必要です。

4層基板の場合、裏と表を信号の配線に使い、中身の2層を電源とGNDの配線に使います。

そのため、2層基板で電源やGNDを繋げずに苦労していた問題が解決します。

2層基板より少し高いですが、配線自由度が圧倒的に増すために、基本的に4層基板を多用します。

個人的には大抵の場合で4層基板をおすすめします。

配線がきれいになるのでノイズも抑制しやすいです。

 

・6層以上

BGAなどピン数が200を超えるようなCPUになると、4層でも限界が来ます。

そうすると6層以上の基板が必要になります。

アートワークをするのもすごく時間がかかる上に、層が多すぎて検図する際にもものすごくわかりにくいです。

なので、できれば使いたくない(爆)

 

と、こんな雰囲気です。

なんとなく、わかりました?

 

以上、小田切でした。

電気を水に例えるとわかりやすい(初心者向け)

電気というのはとかくイメージしにくいものです。

 

「電圧」「電流」とか言葉はあるけど、イメージできない。

式とか定義とかどうでもいいから、とにかくわかりやすく教えて!

 

そんなあなたに「電気=水」の概念をおすすめします!

 

水と電気の相違点

水というのは上から下に流れます。

電気も同じです。高いところから低いところに流れます。

水の流れには勢いがあります。

電気にも勢いがあります。

水には「量」があります。

電気にも「量」があります。

電気というのは「電子」の塊ですが、「電子=水の粒」と考えてイメージするとすごくわかりやすいです。

 

電圧=水が落ちる高さ

電気の電圧というのは「水が落ちる高さ」に相当します。

高いところから水を落とせば勢いが強く(水圧が高い)、低いところから水を落としても勢いは弱いです(水圧が低い)。

電圧というのも同じです。

電圧が高ければ電気の勢いが強く、電圧が低ければ電気の勢いは低いです。

 

電流=流れる水の量

同じ高さから水が落ちる場合でも、ちょろちょろ流れるのとたくさん流れるのでは違いますよね?

電気も同じです。

流れる量を「電流」といいます。

電流が大きければ、電気(電子の粒)が一気に流れるイメージ、電流が小さければ、ちょろちょろ流れるイメージです。

 

エネルギ=水が落ちる高さ×流れる水の量=電圧×電流

ここでエネルギーを考えてみましょう。

イメージが付きやすいように、「かわいそうな人に水を上からぶちまける」という例で考えましょう。

痛いけど、わかりやすいので(汗;

エネルギーというのはこの人が感じる痛みと同じです。

 

バケツいっぱいの水を頭の上10cmから落とす場合と、頭の上10mから落とす場合、どちらが痛いでしょうか?

10mの方が痛いですよね。

つまり高いところから落とすほうがエネルギーが大きいのです。

電気も同じで、電圧が高いほどエネルギーが大きいのです。

 

バケツの位置を頭の上1mに固定したとして、小さいバケツと大きいバケツを使うとどちらが痛いでしょう?

大きいバケツでたくさんの水をぶつけるほうが痛いですよね。

電気も同じで、電流が大きいほどエネルギーが大きいのです。

 

このように、エネルギーには電圧と電流の両方関係していて、

 

電力P=電圧V×電流I

 

という式で表されます。

 

なんとなくですが、電圧と電流のイメージが掴めましたか?

 

以上、小田切でした!

抵抗の消費電力の計算方法(初心者向け)

とっても簡単。

 

消費電力P[W]=V[V]xI[A]

 

この式が全てです。

その抵抗にかかった電圧と電流を掛け算すればいいだけです。

しかも、抵抗の場合は抵抗値が分かっているので、電流だけ・あるいは電圧だけから計算できます。

 

電流が分かっている時

オームの法則から、

V[V]=I[A]xR[ohm]

ですから、これを代入します、

 

P = VxI = IxRxI = I2R

 

電圧が分かっている時

オームの法則を変形して、

I = V/R

これを代入します。

 

P = VxI = V x V/R = V2R

 

これだけです。

以上、小田切でした!

オームの法則 電圧V=電流I×抵抗R (初心者向け)

オームの法則って何?

電圧と電流と抵抗値の関係を表した法則です。

それだけ聞いてもピンとこないと思いますが、実際に電気回路を設計するときには多用します。

 

オームの法則の回路図

image

 

オームの法則はV=IRで表されます。

ある抵抗R[Ω]に電流I[A]が流れた時に抵抗の両端に電圧V[V]の電位差が発生する」ということです。

この1行が滅茶苦茶大事です。

この1行が理解できれば、オームの法則を縦横無尽に活用できます。

 

電流を計算したい時

上の回路図では抵抗R1の抵抗値は100Ωです。

この抵抗を1.5V電池に接続したとしましょう。

つまり、抵抗の両端の電位差は1.5Vです。

ということは・・・

V = IR

1.5[V] = I*100[Ω]

I = 1.5[V]/100[Ω] = 0.015[A](15mA)

という計算ができるので15mAの電流が流れるとわかります。

 

電圧を計算したい時

これは式通りです。

V=IRで計算できます。

ただ、普通の人が思うのは

「電流と抵抗値から電圧を計算したいときってどんなとき?」

ということです。

先程のように、抵抗に電圧をかけた時に電流を計算したいケースは想像がつくと思いますが、

「電流が分かっていて電圧がわからない」というケースは想像しにくいと思います。

これは例えば、配線抵抗の電圧降下を計算する時に使います。

 

例えば、1[A]の電流が流れる製品があるとして、電源からその製品の間に3mの配線があるとします。

その3mの配線の抵抗は測ってみると0.5[Ω]でした。

で、ここで注意してほしいのは、電源線はプラスとマイナスの2本があるので3mx2=6mの抵抗値を考えないといけません。

だから、配線全体の抵抗は1[Ω]です。

すると配線にオームの法則を適用すると……

V = IR = 1[A]x1[Ω] = 1[V]

なんと配線だけで1Vも電圧が落ちてしまいます。

つまり、電源が15[V]だったとしても、配線の先の製品には14[V]しか入っていかないということです。

 

抵抗を計算したい場合

抵抗を計算したい場合も式を変形するだけです。

R=V/I

です。

LEDの制限抵抗などを計算する時などに必要になります。

「抵抗の両端に3Vかかるときに、15mA流れるような抵抗の値はいくつだろう?」

と抵抗を選ぶ時に使用します。

 

以上、小田切でした!

メールでの指示の仕方

実務では、アートワーク業者などの外注さんなどとメールでやり取りすることがあると思います。

このとき、電話で話している内容についてはそれほど齟齬が出ません。

しかし、メールなどの文章のやり取りでは結構齟齬が出ることがあります。

 

なので、次のことを気をつけて書くように気をつけて下さい。

 

アクションを書く

滅茶苦茶大事なのがこれです。

案外と居るのが、「~~という原理で~~という理由により~」といった感じで思考の過程がだらだら書いてある人。

相手にとって必要なのは「思考内容」や「理屈」じゃありません。

「なにをすればいいか」です。

理屈は大量に書いてあるのに、「で、結局どうすればいいの?」となる駄目メール、実際にたくさんありまし。

相手にして欲しいアクションを明確にして下さい。

理屈は書いてもいいですが、アクションの補足でしかありません。

メインはアクションです。

 

箇条書きにする

長い文章でだらだら書く、この時点で意味がわかりにくいです。

そもそも文章というのは会話より意味が伝わりにくいんです。

よほど気をつけないとわかりにくい文章になります。

 

鉄板テンプレート

——————–

・アクション1

補足説明・理屈

 

・アクション2

補足説明・理屈

 

・・・・

——————–

これが一番問題が少ないです。

 

例:

——————–

・抵抗R11を縦置きにしてください

そのほうがR11の右の電源パターンを太く出来ます。

 

・TestPadを裏面に移動して下さい

実装面積が足りないため、部品配置を変更します。

当初提出した設計依頼書と異なりますが、今回の指示を優先として下さい。

 

・CPUを時計方向に90度回転して下さい

そのほうがEthernet PHYとの配線がしやすくなると思います。

もし、逆に配線が困難になるようであれば無理に変えなくても結構です

——————–

 

これを箇条書きにしないで文章で全部混ぜるとすごくわかりにくくなります。

間違いや作業抜けが発生して、なかなかスムーズに進みません。

 

上記の例のように、相手のアクションが明確に箇条書きにされているほうがよいです。

 

以上、小田切でした。

コンデンサ(パスコン)の容量の決め方(初心者向け)

検索ワードを調べていた所、「コンデンサ 容量 決め方」という検索ワードが合ったので、ちょっと書いてみることにしました。

おそらく容量を決めるのに困るのは電源に使うパスコンのことだと思います。

いわゆるフィルターに使うコンデンサというのは、周波数特性を決めれば計算できますから困らないはずです。

(そういうの簡単に計算できるサイトもありますしね)

 

自分もそうでしたが、初心者の時に一番困ったのはバイパスコンデンサ、いわゆるパスコンの容量の設定でした。

ノイズを吸収したり、電源のふらつきを抑制するためのコンデンサですが、さてどうやって決めるのでしょうか。

 

 

経験(過去の回路のコピペ)

いきなりざっくりで申し訳ない。

しかし、結構このパターンはあります。

なにか計算根拠があるわけでなく、単純に「前はこの回路で動いた。コピペして同じ回路にすれば大丈夫だろう」というやつです。

そんなのでいいのかと言われるかもしれませんが、実際の所結構あるんですよ。

一から回路を組んでいるとそれなりに時間がかかるので、昔の回路の一部をコピペして使うのはよくある手です。

 

データシートに記載がある場合

電源ICや高速ICになるとだいたいデータシートにコンデンサの接続例と容量が載っています。

特別な理由がない限り、そこはそのままにします。

というのは、なにかあったときに「お宅の推奨例にそってやったのにおかしいんだけど?」と部品メーカーに文句つけられるからです。

嘘に思えるかもしれませんが、これは本当です。

なにかあると部品メーカーとやり合わないといけないので、「推奨されている使い方を守っている」という形にすることが大事です。

 

データシートに記載がない場合

例えばロジックIC。(NOTとかANDとか)

他にも低速なICや、オペアンプ・コンパレータなどのアナログ部品など。

こんなものはデータシートにパスコンの推奨容量が載っていない場合が多いです。

そんなときは、基本的に0.1uFを付けてしまいます。

「0.1uFで本当にいいのか?」と言われると、悩んでしまいますが……

村田の1005 0.1uF/50Vの積層セラミックコンデンサの自己共振周波数を調べると、約30MHzです。

ということはそれ以下の周波数ならほぼ問題ないわけです。

実際問題、こういった部品は数MHzまたは数Hzなどの低速動作なのであまり問題にならないわけです。

 

 

残りは大電流ライン

データシートに記載があるICは記載にならいました。

データシートに記載がないICは0.1uFつけました。

これで正直、動いちゃいます。

(それで動くように部品は設計されているので)

しかし、やっぱり最低限過ぎて怖いので、実際にはもう少しコンデンサを追加します。

追加するラインは大電流ラインです。

 

まず、電源大元。

ACアダプタなどで入ってくるラインです。

1A程度の機器であれば数百uF~1000uF程度をつけることが多いです。

(これは電源のバッファ用で高周波特性はいらないので、安いアルミ電解コンデンサを使います)

ただ、小型化に伴ってアルミ電解コンデンサを実装する面積・高さがない場合もあります。

その際には積層セラミックコンデンサを実装しますが、価格・面積的にそんな大容量はとれません。

積層セラミックの場合はだいたい100uF以下でOKとしてしまいます。

実際、これで問題が出たことはありません。

 

次に電流を使用する部品です。

例えばブザーです。

ブザーにコンデンサを付けるという発想がない方もいらっしゃるかもしれませんが、ブザーは激しくON/OFFを繰り返すので電流変動が酷いです。

なので、ブザー近辺に10uF程度の積層セラミックをつけることが多いです。

また、当然モーターやモータードライバにもコンデンサを追加します。

 

と、まぁ、こんな感じです。

データシートに記載されていない部分については、その会社内での「常識」による所が結構大きいです。

その会社内で「問題がなかった」という実績がある値です。

 

以上、小田切でした。

コンデンサの役割はノイズを吸収すること(初心者向け)

コンデンサの役割はいろいろありますが、一番多いのはノイズ吸収することです。

それについて簡単に説明したいと思います。

 

接続方法

電源のノイズを吸収するときはこう接続します。

簡単ですね。電源とGNDの間に接続するだけです。

image

 

 

そもそも電源のノイズとはなにか?

電源のノイズというものはそもそも何でしょう。

それは電圧の変化のことです。

電圧が激しく変化すると、部品が誤動作したり電波として基板の外に放出されたりします。

だから、「電源のノイズ=電圧変動」を抑える必要があるのです。

 

なぜ電圧変動が発生するのか?

入ってくる電源が不安定だったりすると、当然電圧が変動します。

じゃあ、電源の電圧が安定していれば電圧が変動しないかというと、そんなこともありません。

配線や基板のパターンには抵抗成分がありますよね?

抵抗成分があるということには、電圧降下が発生します。

つまり、「回路の中の電圧=電源電圧-抵抗成分の電圧降下」になるわけです。

さらに、「抵抗成分の電圧降下=配線・パターンの抵抗成分×電流」です。

ということは、「電流が変化する」→「抵抗成分の電圧降下が変化する」→「回路の中の電圧が変化する」ということになります。

つまり、どんな安定した電源を使用していたとしても、電流が一定じゃない限り電圧が変動してしまうのです。

困ったことにデジタル回路というのは激しく電流が変化するので、電圧変動は必ず起きてしまうのです。

 

なぜコンデンサで電圧変動が減るのか?

コンデンサというのは電気を蓄えます。

自分の電圧が、つながれている回路の電圧より低ければ、充電します。

自分の電圧のほうが高い場合は放電します。

つまり、電圧を均すような働きをするのです。

なので、電圧変動が減ります。

(いま、ものすごくざっくり話をしています)

 

ノイズを減らすためのコンデンサの選び方は?

まずは容量があります。

容量が少ないと充電できる量も放電できる量も小さいので、たくさん電流を消費している回路ではコンデンサの電気が足らなくなってしまいます。

つまり、変動を抑えることができなくなります。

なので、ある程度の容量が必要になります。

 

つぎに自己共振周波数というものがあります。

これはそのコンデンサが扱える最大周波数のことです。

アルミ電解コンデンサは自己共振周波数が10kHz~100kHz程度とされているので、それより早い電圧変動には対処できません。

積層セラミックコンデンサは1MHz以上、ものによってはGHzまで使えます。

なので、高い周波数の電圧変動には積層セラミックコンデンサが必要になります。

 

さらにESRという要素があります。

これはコンデンサの抵抗成分のことです。

回路図で示すとこんな感じです。

image

電源とGNDの間に直接コンデンサを入れているはずが、じつは見えない抵抗が入っているんです。

コンデンサを作る時に中に抵抗が出来てしまうんです。(ざっくり話してますよ)

アルミ電解コンデンサではESRが10Ωとかあるものがあります。

10Ωもあると大電流が流せないので、必然的に電圧変動を抑える力が弱くなります。

積層セラミックコンデンサなどでは数mΩといった超低ESRなものがあります。

そうすると大電流が流せるので、電圧変動を抑える力が強くなります。

 

以上、全体をザクッと説明してみました。

小田切でした!

基板アートワークの用語集

アートワークに関わる用語集をまとめてみることにしました。

 

◯TOP面(部品面)

基板の表のこと

 

◯BOTTOM面(ハンダ面)

基板の裏のこと

 

◯層構成

何層の基板にして、各層の厚みをどうするかと言った仕様のこと

 

◯VIA(ビア)

層と層と貫く電極のこと。

VIAによって各層を接続する。

 

◯IVH(インビジブルビアホール)

見えないVIA。

普通のVIAは全層を貫く。(例えば4層基板なら、4層全てを貫く)

しかし、それではスペースが無駄になってVIAを高い密度で配置することが出来ない。

そんなときにIVHをつかう。

IVHは「6層基板で2層~5層だけつなぐ」みたいに基板の中の層だけを接続するときに使う。

ただし高いので、6層以上の高密度基板でしか使わない。

 

◯FR-4

基板の素材のこと。

いわゆるガラスエポキシ基板。

ほとんど場合この素材しか使わない。

 

◯ベタ

広い面積のパターンのこと。

「ここにGNDベタを入れて下さい」のように使う。

 

◯実装禁止領域

ネジ穴の周辺など、筐体と筐体が接する部分がある。

そういった点をアートワーク担当者に指示する。

「このネジ穴から半径6mmは実装禁止です」

 

◯高さ制限

筐体との関係などで、高さ制限が加わることがある。

「この領域はたかさ制限1mmでお願いします」のように使う。

 

 

 

部品面

コンデンサの種類と周波数特性

コンデンサはいろいろあるけど、基本的な使い分けには周波数特性が大事。

ということで、周波数特性についてまとめてみました。

今回は中級者以上向け。

 

周波数特性(自己共振周波数)

コンデンサの周波数特性=自己共振周波数とほぼ考えてよし。

要は寄生インダクタが効いてしまってコンデンサとして使えなくなる周波数のことです。

この周波数以下なら使えるので、ここだけみればだいたい大丈夫です。

 

概要

下の村田のページ図4をみれば一発。

https://www.murata.com/ja-jp/products/emiconfun/capacitor/2011/04/14/en-20110414-p1

図4は周波数とインピーダンスのグラフになっています。

理想コンデンサなら、周波数が上がるに連れどんどんインピーダンスは下がっていくはずなのに……

 

アルミ電解コンデンサ:1kHzあたりで下げ止まっています。そのあとはほとんど下がっていません。ESRが大きすぎて、自己共振周波数が見えていませんね。

 

タンタル電解コンデンサ:自己共振周波数は約2MHz。ESRはアルミ電解よりずっと小さい。

 

積層セラミックコンデンサ:自己共振周波数は約2MHz。ESRはタンタルよりさらに小さい。

 

タンタルはいまどき使わないですが、とにかくアルミ電解コンデンサと積層セラミックの圧倒的な実力差が見えます。

 

 

アルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサの自己共振周波数はいろいろな文書でだいたい100kHz程度とされています。。

しかし、実際にはコンデンサの品種によってぜんぜん違うはずなのに、データシートに書いてないことがおおいのが現実です。

例えば、代表的な電解コンデンサであるニッケミSMGのデータシート。

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/004-lead/al-smg-j-170401.pdf

 

このデータシートを目の皿のようにしてくまなく見てもらいたのですが、自己共振周波数の記述がありません。

積層セラミックとかは記述があるのに、電解コンデンサはそういう細かい特性が書いていないことが多いんですよね。

ただ、よくよく見ていくといろいろな定格が120Hzで規定されていることに気がつきます。

120Hzの仕様が掲載されているということは、逆に言うと高周波特性はあまり期待出来なさそうな雰囲気がします。

現役の部品でもこの程度のデータシートしか無いので困ってしまいます。

 

とにかくここから見えてくるのは、具体的な部品の特性は「結局よくわからない!」ということです。

見えてくるのは精々120Hzの特性程度。

アルミ電解コンデンサにたいして無条件に「100kHz程度まで使える」と考えるのは危険なようです。

現実的には周波数特性が全く問題にならない用途「電源大元のバッファ用」程度にしか怖くて使えません。

DCDCの出力は数MHzになるので間違いなく使えませんね。

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサ

こちらニッケミの導電性高分子アルミ電解コンデンサのデータシート。

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/002-cp/al-psf-j-170401.pdf

 

こちらも自己共振周波数の記述がありません。

ただし、いろいろな仕様が100kHzで規定されているので、少なくとも100kHz程度では使えるということがわかります。

 

 

積層セラミックコンデンサ

自己共振周波数を気にするような回路だと必然的にこれになっちゃいます。

なぜならデータが揃っているから。

ほかのコンデンサメーカーもデータを揃えてもらいたいんですが。

 

積層セラミックコンデンサなら村田ですが、積層セラミックも温度保証用と高誘電率系でかなり特性が違います。

サイズは1005に固定して、それぞれのタイプの容量別の自己共振周波数を見てみましょう。

 

◯温度保証型

1pF 100V (GRM1554C2A1R0BA01):  約7.2GHz

100pF 100V (GRM1552C2A101GA01): 約800MHz

4700pF 10V (GRM1557U1A472JA01): 約120MHz

 

◯高誘電率系

220pF 50V (GRM155B11H221KA01): 約600MHz

0.1uF 50V(GRM155B31H104KE14): 約30MHz

10uF 4V (GRM155R60G106ME44): 約2MHz

 

見ての通り、同じ1005サイズでも容量によってまったく自己共振周波数が違います。

1pFなんて7GHzなんてところまで使えるのに対し、10uFではたった2MHzです。

(それでもアルミ電解よりはずっといいにちがいありませんが)

 

 

まとめ

アルミ電解コンデンサは120Hzしか仕様が規定されていません。

電源のバッファのような周波数特性が問題にならないところにしか使えません。

 

導電性高分子アルミ電解コンデンサは100kHzで仕様が規定されています。

100kHz程度のDCDCコンバータまでなら使えます。

 

積層セラミックコンデンサは全ての部品に対して自己共振周波数が分かります。

例えば「0.1uF 50V 1005」のコンデンサでは自己共振周波数は30MHzですので、100MHzのICのパスコンには力不足なことがわかります。

フィルタする周波数に合わせて、自己共振周波数を調べる必要があります。

 

以上、小田切でした!